外伝【オーラ・パワー修行中】
麻葉が平日中、【テラ・レギオンズ】にログインできるのは2時間ぐらいが限度だった。
部活動はなくなったが、学校の宿題はある。
成績はお小遣いに関係するので、維持するための復習もやらなくてはいけない。
「そんなにやる時間ないんだよなー私」
それでも、その2時間はタイマーをかけてきっちりと【テラ・レギオンズ】をやると麻葉は決めた。
「はーー……勉強終わり。さーって【テラ・レギオンズ】やろっと」
ベッドに横になり、VRゴーグルを装着する。
ゲームを起動すると、【アトランティス】に目覚めた時にいた大きな部屋からプレイが始まる。
「おはよう、フィー」
「おはよう、アサ。って言っても、もう夜だけどね」
背伸びして動く準備をするフィー。
「今日もジェットの依頼をこなすの?」
「ああ、オーラの練習がてらな」
「分かった!じゃあ今日も厳しく行くわよ」
「優しくしてくれよ……」
「ダーメ」
そうして二人はミーレスの元へ行き、ジェットに挨拶をしてクエストの場所まで移動した。
クエストの場所までは矢印でのナビゲートがされ、自動移動を設定すれば操作せずに移動してくれる便利な機能もある。
「今日やる依頼は何?」
その機能を使い、麻葉は特に前を見ずにフィーとの話に乗じる。
「今日は鉱山で採掘をするか。つるはしも持ってきたし」
「いいわねそれ。オーラの修行に丁度いいわ」
何か考えているフィー。
「もうすっかり先生だな」
「アサとミーレスのためじゃない」
「それもそうだが……」
オーラの修業とは、麻葉が思うよりもかなりしっかりしていた。
剣に10%だけオーラを集中させたり、逐一自分の残りのオーラは後どれくらいか聞かれたり、細かいことが多く、細かいことが苦手な麻葉はその修行法に苦戦している。
「ここ鉱山か……」
ミーレスよりも高い山の中腹に、ミーレスでも入れるような鉱山の入り口がある。
目にライトを灯し、指定された採掘場に着くとつるはしのマークが浮かんでいた。
「ここが採掘ポイントか」
クエストをやる前に光冴にやり方を聞いたところ、【テラ・レギオンズ】での採掘は、採掘ポイントでひたすらにつるはしを使い、土を掘っていけばいいらしい。
「どれぐらいオーラを使ってやるの?」
「えっと、ひとまず15%ぐらいでやってみる」
つるはしにオーラを集中させ、土を掘る。
すると、石の塊のようなモノがミーレスの足元に落ちてきた。
「おお、これか」
残念ながら2つとも目的のものとは違う鉱石。麻葉はそれらをストレージにしまう。
「すぐには出ないか。オーラが足りなかったか?」
「じゃあ10%ずつオーラを高めていきましょう。それも訓練よ」
「はいはい」
そうしてオーラを操作しつつ、つるはしを使い土を掘っていく。
……だが、目的の鉱石を目標数見つけるのに2時間全てを使うことになった。
「……滅茶苦茶時間かかるんだな、これ」
「そんなに貴重な鉱石じゃないはずなのだけど……」
「やばいオーラの残り10%ぐらいだ」
「飛んで行ったら途中でオーラ切れそうね。歩いて行きましょう」
「うえぇー……」
ツキがなかったのか。それとも普通にそれぐらいの時間かかるクエストだったのか。不運に見舞われる麻葉。
オーラをできるだけ節約しながら何とか城まで着いた頃には、当然2時間をオーバーしてしまっていた。
しかし――
(こうして地道に取り組むのは、陸上部以来だな……)
もう2度とやりたくないと思いながらも、懐かしい感覚を得たことに少しの喜びを、麻葉は感じたのだった。
―――――――――――――――――――――――
テラ「ハンターハ〇ターの修行に似てる?ハッハッハ。
それがモチーフなことは秘密だよ?」
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