【海の底の空を超えて:エピローグ】

「【聖戦士】なんて呼ばれて大変だったんだぞ!!何だったんだあれ!!」


 あの後、ミーレスを兵士たちに渡すと、麻葉はすぐにログアウトをした。


 その後、ベッドから起きて光冴の部屋に行き、光冴を起こし、現在に至る。


「そんなことになったのか?」


「なった」


「それは……どうしてだろうな。俺の時はそんな風にはならなかったんだが」


「兄貴の時は、違ったのか?」


「ああ、クエストとか色々な方法で金を集めたんだが……あっ」


 何か思いついたような顔をした光冴だが、その後すぐに麻葉から気まずそうに顔を背ける。


「話せ」


「ハハハ……。俺の時は少しずつ金を納めてたわ、そういえば」


「ってことは、いきなり20万Gを入れたせいでああなってことか?」


「ソウカモシレナイ」


「お前のせいじゃねぇか―――!!」


「いやーそんなことになるなんてな。すまなかったって。夕食はお前が好きなもの作るから勘弁してくれ」


「……肉が食べたい」


「分かった。今日は肉野菜炒めにする」


 好物が食べられることとなり、麻葉は光冴への怒りをやめ、別の話題に持っていく。


「ハーーー、明日からどんな顔して城のやつらに会えばいいんだよ私」


「何だ。まだやる気はあるじゃないか」


「当たり前だろ。ミーレスは楽しいし、まだワールドクエストも始まったばかりなんだ。やめる気はない」


 その素直な言葉に光冴は満足気な顔を浮かべる。


「なんだよ。何か言いたいことでもあるのか?」


「本当に楽しそうでな。ここまでハマってくれて嬉しいんだよ」


「……まぁな」


 様々な初めての体験。思い出した想い。新しい出会い。


 そこから産まれた『楽しい』という感情に、麻葉は嘘を付きたくなかった。


「良いゲームだと思うよ。フルダイブ型ってこんな感覚なんだな」


「いや、ここまで作り込まれたゲームは少ないって聞くぞ。今じわじわ売れて、1万本ぐらい売れたらしいが」


「それって多いのか?」


「まだ少ない方だな。ソフトの価格が高いのが、中々購入に繋がらないんだろうなぁ……」


「【テラ・レギオンズ】って高いのか?」


 あまり最近のゲーム事情に詳しくない麻葉は、スマホを使い【テラ・レギオンズ】の価格を調べる。


「……さ、3万!?」


「フルダイブ系ゲームは安くて1万、高くて10万以上が相場だぞ」


 フルダイブ系ゲームはとにかく開発費が高騰する。そのせいでソフトの値段もどんどん上がっている。


 どうしても作り込みがそのままゲーム体験に反映されるため、開発費がその分高くなってしまうのだ。


「……よく買う気になったな」


「体験版をやってたんだがそれが面白くってな。先輩も買う気だったし」


「話に聞く大学の先輩か。【テラ・レギオンズ】やってるんだ」


「そのうち紹介するよ。良い……人ではないな。面白い人だ」


「なんだよその言い方」


「会ってみればわかる」


 光冴の曖昧な言い方に麻葉は首を傾げたが、追及する気にもならず口を閉じた。


「わかった。じゃあ晩ご飯頼むぞ」


「ああ、19時ぐらいに食べれるようにするよ」


 そうしてリビングから互いの部屋へと移る2人。


 部屋に戻り一息つくと、麻葉は途端にうずうずしてしまった。


「晩ご飯まであと1時間か……」


 ――少しだけ、まだ少しだけならまだやれるはず。


「もうちょっとだけ、な」


 ベットに寝そべり、VRゴーグルを装着して、ゲームを起動する。


――【テラ・レギオンズ】。そこにはまだ誰も見たことがない世界が、皆を待っている。


 麻葉はその世界の膨大さの一端に触れ、これからもゲームを続けていく。


 その先に、自身の因縁が待ち受けていることなど知らずに、今はただ自由を楽しむのであった――。

―――――――――――――――――――――――

テラ「章の最後に朝姫ちゃんの今のステータスでも紹介しようかな。

 オーラ・パワーに+があるのはフィーちゃんがいるからだよ。

 朝姫ちゃんはフィーちゃんの+補正については気づいてないけど。

 登録機体については、現段階では最大3体まで設定できるよ。課金かクエストをクリアすれば登録機体増やせるよー」


ステータス

[朝姫:【LV3】/スキル:【オーラ・パワー:LV4+5】/登録機体【ミーレス/・/・】]

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