6話~彼女の新しい顔~
土曜日---
今までの順太郎に取って、休日はただ"寝坊できる日"だった。
昼前に起きて、暇そうな友人がを捕まえて一緒にゲームセンターやカラオケに行く。
しかし最近は友達は皆、彼女を作り、結婚してしまった。
遊ぶ友人もおらず、家でスマホのソーシャルゲームを"似たようなゲームばかりで飽きた"などと文句を言いながら時間を潰していた。
しかし、今日という土曜日は沙也加と会う約束をしたその瞬間から待ち遠しかった。
昨日、沙也加と別れた後からずっと、早く夜に開けてもらいたくてじれったかった。
約束の時間は9時で場所は大宮駅---
別れてからの9時間、順太郎は落ち着かなかった。
期待と妄想で何度も発射してはシャワーを浴び、
枕を相手に「沙也加さん、好きです!」と練習しては、自分で赤面して布団に潜り込む。
まるで中学生に戻ったみたいだ――。
8時半過ぎから大宮駅で待つ順太郎。
考えてみればスーツを着ていない沙也加を見るのは初めてだ。
それだけでも緊張と幸福感で満たされる。
これが運命というやつのだろう。
サーヤ… 好きだぁあああああああああああああああああ!!
* * *
「古市さん、お待たせです。」
夢のような妄想とエロい想像を繰り返す順太郎に沙也加を声を掛けてきた。
生沙也加は順太郎のどんな妄想よりも存在感が強い。
妄想よりも美しく、想像よりも愛おしい。
「ままま… 待ってませんよ!」
順太郎は急いで立ち上がり、沙也加に答える。
沙也加はクスクス笑っている。
私服の沙也加さんも可愛いなぁ~…。
「じゃあ、行きましょう。 男の人用の鞄とか良いかなと思うんですけどどうですか?」
あなたの体が最高のプレゼントですよ!
という本音を隠し、順太郎はまずは一番気になる事を聞く。
「そう言えば、男って誰なんですか? 彼氏さん?」
ここで"彼氏"と言われたらそのままビルの屋上まで行って飛び降りれそうな気もしたが、これだけは聞いてこかねばならない。
しかし沙也加は恥ずかしがりながらそれを否定してくれた。
"恩人"らしい。
男で恩人…。
そう言えば毎日の通勤電車で沙也加に痴漢が付かないよう、覆い被るように守り続けている―――
俺へのお礼だろうか?
いつも押し倒したくなる気持ちを我慢しているのだからやっぱり一発…。
「鞄よりも、毎日の疲れを取ってあげられるものの方がいいんじゃないですか?」
順太郎はそれとなく自分の下心を表に出す。
沙也加は口に指を当てて、少し考える―――
「ん~… 疲れかぁ… ゆっくり安心できるもの…」
安心とかいらねぇよ!!
純情か!!
「アロマとか良いかも知れませんね!」
ポンッ!と手を叩くと、沙也加は雑貨店に入って行った―――
そっちかーーーい!!
ツッコミを入れながらも順太郎は楽しい1日となった。
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