第12話 少年のような異才
自立訓練やB型作業所には時々、彼のようなタイプの方が入所する場合がある。先ほど述べた東大卒の彼も自立訓練で出会った。東大卒の彼もやはり頭はすごく良かった。彼は謙虚だから自分より頭がいい人なんていっぱいいる、と話していたが話してみると知的な男性だった。
自立訓練やB型作業所にギフテッド(高IQ)の当事者が入所するわけがない。そう思う方も多いだろう。だが、私の肌感覚ではそうではないこともある。平たく言えば、居場所がないからだ。どんなに数学の問題を解けても高校に行っていなかったら負け組扱いされる。日本の主に科学分野に関する競争力が低下している、とニュースが飛び交っている。経済損失も多くなっていると聞く。
日本は少年のような異才を失ってきただけだと私は個人的には思っている。彼のような存在はあまり多くはいないかもしれないが意外にいるのだ。日本では高IQに対する子供たちの支援があまりにもない。
彼のような異才は日本ならば、下手すると支援学級や支援学校に行かされる実態がある。私も10代の頃、支援学級に行くよう、高校時代、言われた。転校したその高校は支援学級がある高校だった。もちろん、断ったが勉強だけが取り柄なのに支援学級や支援学校に行ったら授業が詰まらな過ぎて苦痛になるだろう。
今、私が子供だったら支援学級に進学していたかもしれない、と母は話している。発達障害を併発しているだけで支援学級に進学しないといけないのだ。どんなに成績が良くても支援学級に行かないといけない。
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