アイデンティティ

風花 こたつ

目覚め

 目を覚ますと白い天井があった。

無機質な部屋のベットで私は寝かされていた。

白衣の人間たちがそばに立ち期待した目でこちらを見ていた。

ここはどこだ?私は、なぜここにいる?

そして......私は......だれだ......?

誰も何も言わずにただ私の言葉を待っているようだった。

意を決して口を開く。


「......あの、ここは、どこですか?そして、......私は誰ですか?」


その瞬間時が止まったようだった。

ここにいる誰もが沈黙している。

そして、周りの人たちは目を見開いたかと思えば落胆した表情をする。

一人の男がおもむろに口を開いた。


「失敗だ。」


ただその一言だけをつぶやいた。


私は失敗作だった。

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