真ん中猫
わが家の真ん中猫は、誰よりも私のことが大好きだ。
これは自信をもって言える。
私がいる場所には必ずついてきて、じっとこちらを見つめてくる。
そのままそばに座り、安心したように目を閉じて眠る。
夜寝る時は、私の頭の上が彼女の定位置だ。
時々、私の髪の毛をちょんちょんと引っ張って、じゃれてくる。
その姿がたまらなく愛おしい。
彼女は、夫や息子にはあまり懐いていない。
ふたりの足音が聞こえた瞬間、さっとキャットハウスに逃げ込んでしまう。
しばらくして様子をうかがうように出てくるけれど、決して自分からは近づかない。
そんなある晩のこと。
いつもなら私の部屋にくるはずの真ん中猫が、現れなかった。
少し不安になって家の中を探してみると、どうやら夫の部屋で過ごしていたらしい。
めったにないことだった。
——なぜだろう。
私はきっと、ほんの少し、嫉妬のような気持ちを抱いていたのだと思う。
翌朝、夫に、真ん中猫はどこで寝ていたのか聞いてみた。
すると、「ずっとベッドの下にいたよ」とのこと。
なんだ、やっぱりそうか。
それを聞いた私は、ちょっと優越感を覚えた。
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