三猫三様

ささまる

お姉ちゃん猫

わが家のお姉ちゃん猫は、いつも高いところで眠っている。

キャットタワーのてっぺんが、彼女のお気に入りの場所だ。

どうやら、ひとりで過ごすのが好きらしい。

私がそばに寄っても、顔を上げることすらなく、そっけない態度を取る。

なでようと手を伸ばすと、すっと立ち上がって、さりげなく離れていってしまうこともある。


——もしかして、嫌われてる? そう思ってしまうこともしばしばだ。

でも、そんな彼女にも、かわいらしい一面がある。

私が台所でごはんの準備を始めると、どこからともなく現れて、足元にスリスリしてくるのだ。

その姿がたまらなく愛おしくて、思わず顔がほころんでしまう。

・・・が、ごはんを食べ終えると、また何事もなかったかのように、すっとその場を離れていってしまう。


「猫は気まぐれ」——よくそう言われるから、私はなるべくしつこくしないようにしている。

けれど、こちらから歩み寄らなければ、どんどん距離が離れてしまう気がして、つい手を伸ばしてしまう。


先日、いつものように近づいてなでようとしたら、珍しく逃げなかった。

そっとなでてみると、彼女は目を細めて、喉をゴロゴロと鳴らし始めたのだ。

うれしくなって、私はしばらくそのままなで続けた。

手を止めると、彼女は「あれ?」という顔で私を見上げる。

その表情がまたたまらなくかわいくて、私は思わず笑ってしまった。


——そんな穏やかな時間を過ごしていたときだった。

玄関の扉が開く音がして、夫が帰ってきた。

するとお姉ちゃん猫は、さっさと立ち上がり、まっすぐ夫の元へ駆け寄っていってしまった。


・・・ちょっとだけ、いや、けっこう寂しかった。

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