第44話
ぺんぎん散歩が終わり、オオカミの森とホッキョクグマ館を見て回って少し早目に切り上げて正門に向かう。
正門を出ると右に進み横断歩道を渡った先に、十二時五十分で予め配車を頼んでいたタクシーが五分ほど早く主よりも早くに来て待っていたので乗り込む。
「それでは自由軒へ向かいます」
行先も告げてあったのでスムーズだ。
「お願いします」
主の声と共にタクシーが動き出す。
「到着しました。料金は三千三百三十円になります。自由軒は、降りて左の平和通買物公園って言うんだけど、そこを歩いて左側のすぐに梵天丸って焼肉屋があるから、その先の結利空って美容室があるからその間の道を入って先にあります」
主は料金を支払い「ありがとうございました」と告げてタクシーを降りる。
自由亭はタクシー運転手の言われた通りに進むとすぐに見つかった。
入店すると、二時十分を過ぎているのに中々の盛況だが、四人掛けのテーブル席が四つと六人掛け程度のカウンター席は満員というほどでもなかったので、カウンター席の端の席を進められ、席に着いて三秒で「五郎セットプラス大わんみそ汁をお願いします」と告げるのであった。
店を出て通りに出てすぐにタクシーを拾う。
「旭川科学館サイパルまでよろしくお願いします」
主が五郎さんぶって注文した大わんみそ汁が、ラーメンどんぶりサイズにみそ汁に大量の豚肉が入ったものだったので、予想以上に時間がかかって、三時到着は難しい状況だ。
まだ大丈夫だとは思うが、主は自分のミスだけに結構焦っている。
『どうしようモモちゃん。三時台のプログラムに間に合わなかったら』
『間に合わなかったら、また来れば良いんですよ……そもそも、ここには何度か来てるんですよね?』
『モモちゃん。一期一会よ。この期を逃したりしたら駄目なの』
『…………ああ、そうですね』
我は丁重にスルーした。
旭川科学館サイパルに到着したのは十五時三分と、最小限の遅れで済んだので問題なくチケットを買う事が出来た……まあ、知ってたんですけどね。
札幌青少年科学館のプラネタリウムでも平日で団体客が入らない四回目と五回目のプログラムの席が全て埋まって入れない客が出る状況に出くわした事は無い。札幌青少年科学館のプラネタリウムの席数は二百席で、サイパルは百七十席。札幌と旭川の人口比が約6:1なので、席さえ選ばなければ入れない理由は無いし、旭川市民がとんでもなくプラネタリウム好きでもない限り、ある程度席は選べて当然なのである。
北見でもそうだったが、何かに強く興味が惹かれると時間を忘れてしまう悪癖がある主への教育的指導である。
まあ我も五郎さんが飲んだラーメンどんぶりに入ったみそ汁に興味があったのはたしかだが。
サイパルのシートはドーム中央の投影機に向いて設置されているので、全体を見渡したいなら円周部で、方角は南側が良く見える西から北にかけての席がお勧めだ。
ちなみに南側の席はシートが向きを変えられるようになっている。それはプラネタリウムは基本的に南方向を正面として観るものだからである。
そして主は北北西方向の円周部の席をゲット出来た。
何故かというとプラネタリウムは最前列とか映写機の近くの席が早く埋まる傾向がある。
それはプラネタリウムの客に占めるリピーター率が低いのが原因ではないかと思う……こんなに楽しいのに。
何ならプラネタリウムまで来て寝るのが目的な「熟睡プラ寝たリウム」という企画すらある……我としては普通のプログラムの方が良いな。一時間じゃ寝た内に入らないから絶対に寝ないで過ごす事になるだろう。
やっぱり、ここのシートが世界のどのプラネタリウムのシートより気持良いかもしれない。
シートを後ろに倒して寛いでいる主のお腹の上で、ミトンの中に入り込んでスクリーンを見上げている我としては、ここより気持ちのいい場所はないと思っている。
『もっとドーム型のスクリーンに投影する利点を生かした映像にすればいいのかもしれませんが、それは結構難しいですよね』
『ドーム状の場所で撮影? ドーム球場?』
『ドーム球場で野球の試合を撮影しても、画面に映るのは天井とホームランかフライの球ですよ』
『やっぱりプラネタリウムは空を映すのに特化しているよね』
『正直なところ我もそう思います』
『アニメやCGならどうかな? それならドーム型スクリーンを活かした映像が作れるよね』
『……そういえば、アニメのプログラムあるみたいですね』
『そうだね。また来た時に観ようね』
『はい、雪が解けたらバイクで来ましょうか?』
『あ~また自動車教習所に通うのか』
『主は普通自動車免許を持っているので、技能八コマと学科が一コマですね』
『何とか技能一コマ学科八コマにならないかな?』
『主ぃ~?』
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