食いしん坊でマイぺースな花梨と鬼子の蘇芳は夫婦の盃を交わす。
幼少期から兄妹のように育った二人は師の跡を継ぎ、祓い屋家業を始めます。
あやかし怪異ものですが、派手なバトルやドラマチックな恋愛ものではありません。
けれど、人の中に潜む業や無念の情を丁寧に描いた素朴で温かな作品です。
各章の事件が最初から信頼関係のある二人に少しずつ波紋を残していくような後味。
熾火のように安定し、けれど燻る炎はある。
また、ご飯ものとしても魅力的。
昔の日本風の世界観なので、質素で庶民的な食事風景なのですが、そこがまた読者として想像しやすくてよだれが出ます笑
家族、兄弟、そして夫婦。少しずつ二人の関係性は積み重ねって深まっていく。
美味しいご飯と人情怪異譚。ぜひおすすめです!
明るく食いしん坊な花梨と、口数少なく鬼の血を引く武骨な蘇芳。
兄妹のように育ち、同じ師匠の下で修行したこの二人は夫婦になった。
神の座す五峰聯山の麓に住まう夫婦の生業は、人々に憑いた悪いものをお祓いである。
では、魑魅魍魎と戦う物語なのかといえば、そうではない。
夫婦が祓うのは、人間の業から生まれたものである。
それは〝結果〟を祓えば済む話ではなく、根本を正さなければならないもので、それを祓い屋としてはまだ名が売れていない二人が、協力して解決していく様子が面白い。
加えて花梨にまつわる食のあれこれも見ていて楽しい。
〝人間〟に重きを置いた祓い屋夫婦の奇譚をご覧あれ。
この物語の最大の魅力は花梨と蘇芳という、ふたりの関係性です。
ふたりは新婚のはずですが、幼いころからの長いつきあいで、文字通り長い春の末に結婚したから、互いに遠慮がない。
そこが、いいんですよね。
とにかく女主人公の花梨が魅力的で、祓い屋として活躍するときの、凛としたたずまい。祓う瞬間の描写には、読者を一気に物語へと引き込む緊張感があります。
もちろん鬼の血を引く蘇芳も素敵です。
ふたりの日常は悪霊との戦いとは打って変わり、温かさに満ちています。美味しそうな食事も含めて、そこは、この物語の癒し部分です。
ふたりの結婚の形が物語の深みを与えているのです。
いろんな悪霊やら怨霊やら、こいつ大丈夫かという人々が現れますが、夫婦ふたりが、きっちり祓ってくれる痛快作品。
どうぞ、お読みください。
幼馴染であり、義理の兄妹であり、弟子同士であり、仕事仲間。
そんな複雑な関係の花梨と蘇芳が夫婦となったところから、物語は始まります。
長く一緒にいるせいか、二人は夫婦になっても落ち着いた空気感が漂っています。
それでも、ところどころに緊張やお互いへの思いやりが感じられて、微笑ましい関係性だなって思います。
二人は祓い屋として仕事をこなしていくわけですが、夫婦であり仲間でもある絆が感じられて頼もしいです。
だけど、祓う相手は物の怪など。言葉が通じる相手ではなく、そう簡単にはいかないこともしばしば。
けれどそこは、二人がうまく補っているように思います。
不思議な物語として読んでも楽しいし、お祓いや呪術ものとしても興味深いです。
だけど私としては、飯テロだなと!
素朴な食事なのですが、美味しそうなのです!日本人ならヨダレが出る!
和の食事が好きな人にもおすすめの、しっとりとした作品です。