さくら


 近衛このえ さくらと私は生まれた時から一緒の幼馴染みだった。

 幼稚園の時には毎日お揃いのヘアゴムで同じ髪型をした。

 小学校の時にはふたり手を繋いで仲良く登下校をした。

 中学校の時には吹奏楽部に入ってふたりでフルートを吹いた。

 高校の時には放課後にゲームセンターに行ってたくさんプリクラを撮った。

 さくらと一緒に過ごす時間は楽しくて、毎日が充実していた。それはさくらも同じ気持ちだった。


「わたしとうめちゃん、小さな頃からずっと一緒にいるけどちっとも飽きたりしないんだよね! 毎日が馬鹿みたいに楽しくて困っちゃうよ~。このままずっとふたりでいられたらいいのにね!」


 さくらはよくそう言って笑った。その笑顔は優しくて、可愛くて、私はいつもドキドキと胸を高鳴らせていた。

 さくらの笑顔はこの先も私だけのもの。私がさくらの笑顔を守るんだ──そう、思っていたのに……。

 さくらは私とは違う県外の都会の大学へと進学してしまった。そこから私とさくらの運命の歯車が狂い始めたのだ。

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