第20話 歪み



本当に此奴ら、顔と体と戦闘以外何もないな。


イザベルとマリル、メルルを見ると本当にそう思うようになってきた。


それに此奴ら、日に日に汚らしくなっていくし……


本当に馬鹿な奴らだ。


「もう、いいや……どけ!」


「ちょっと、マサト一体どうしたっていうの?」


「ほら、夜はながいんだから、もう少しね」


「うんうん、ほら気持ち良くしてあげるから……」


今、俺は三人と一緒に夜を過ごしている。


勿論、裸で……だが、なんだか気分が乗らない。


勇者パーティは魔王討伐が終わる迄、一線は越えられない。


万が一四職(勇者 聖女 賢者 剣聖)が妊娠でもしてしまうと出産まで約1年戦いが出来なくなるからな。


避妊紋は?


醜聞があるから刻めないし、勇者を含む四職は色々と守られているからそもそも効能が無いかも知れない。


尤も、その一歩手前までは問題ないから……まぁ、色々しているわけだ。


「悪いな、ちょっと気分がな……」


それだけ言うと俺は服を着て夜風にあたりに出た。


◆◆◆


これは勇者パーティだから、仕方ないのかも知れない。


あいつ等、戦闘以外殆ど何も出来ないからな……


メルルは賢者というが良く計算を間違え、文字が汚いと教会やギルドに言われきれている……


確かに、文字は汚いし、何回も計算を間違えば皮肉位はいうよな。


マリルも買い出しでよく買い忘れがあるし……


その中でもイザベルは、まぁ一番何も出来ない。


洗濯も家事も下手も良い所だ。


一応は、どうにか回しているが、服はヨレヨレ。


食事は不味い……


そして、どんどん汚くなっていく。


アイシャ程じゃないが、気のせいか不潔になって来たように見える。


今迄化粧品の手配や健康管理はグルダがやっていた。


健康的な生活ができるように食事まで彼奴が管理してくれた。


だからこそ、彼奴らは綺麗で美しくいられた。


だが、此処にグルダはいない。


その結果、髪は痛み、よく見るとボサボサ。


グルダが作る化粧水を使わないからか、ニキビも出来て来た。


簡単な肉食が多いせいか、汗も少し臭うし、体型も少しふっくらとして来た気がする。


グルダはしっかりと野菜を取り入れたバランスの良い食事を用意してくれていたもんな。


確かにまだ可愛いが、少しずつだが崩れて来た気がする。


体を重ねている俺だから良く分かる。


俺が何かしてやれば状況は変わるだろう。


だが……俺はやらない。


俺は外食の時はサラダ中心の食事にし量を減らす事で調整している。


飲む時も1~2品にエール、自分なりにコントロールしている。


だが、彼奴らは好きな物を食べてコントロールできない。


結局、此奴らは自分では健康も、美貌も維持できない。


それなのにグルダを追い出した。


今は……戦闘もしてないし、だからこれですんでいる。


だが、俺達は勇者パーティ。


今はその旅の中で少しだけ休んでいるに過ぎない。


これから、戦闘が始まり、更に旅が進めば野営が多くなる。


その過酷な中じゃ、より色々な事が出来なくなるだろう。


絶対に今より酷い状況になる。


男の俺には関係ないし、俺は家事は出来る。


出来ないあいつ等は、困る事になるだろうな。


人を外見で判断し追い出そうとした……彼奴らがいけないんだ。



※次回からようやく主人公 グルダ視点に話が変わります。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る