第19話 価値に気がつかないんだな。
結局、アイシャは自分の足で歩いていた。
見た感じグルダの姉さん女房みたいな状態で手を繋ぎながら、俺の後をついてくる。
避妊紋は元から刻まれているから、奴隷商にはいかないで良いよな?
「うふふっ旦那様ぁ~」
「アイシャさん」
冒険者ギルドに行って、別動隊のパーティメンバーにアイシャを登録した。
「これで登録は終わりました……あの、マサト様に聞きたいのですが、これってグルダ様のハーレムパーティに見えるのですが……」
「そうかもな」
「あの……どうして……」
言いたい事はわかる。
ブサイクで女っ気が無いどころか、嫌われていたグルダが何故。
そう思っているのだろうな。
俺はニヤリと笑う。
「アンタや他の女みたいに外見ばかり見るような奴には解らないよ! グルダって奴は『外見以外』は全部持った奴なんだぜ。 家事は出来て女性に優しい……そして勇者パーティの別動隊のリーダーだから地位もある! 俺が魔王を倒したら貴族籍位手にして貴族になるかも知れねー。 その価値や魅力に気がつかない奴の方がおかしいぞ」
受付嬢は一瞬変な顔をしたが……
「確かに……」
俺が少し大きな声で話したから、近くの女冒険者数人がこちらを見た。
装備からして、多分生活が苦しいのが見てとれる。
『馬鹿な奴だ……グルダは金の卵』だった。
誰でも簡単に拾える場所に落ちてたのに拾わなかった。
グルダに色目使えば、そんな貧乏くさい生活からおさらばできて、毎日ステーキ生活だったのに……もう遅ぇぇぇんだよ。
「これで、旦那様とアイシャは正式な仲間ですね。」
「そうだね、アイシャさん、これで仲間だよ!」
「それじゃ、俺は行くぞ……あとは任せた。 家に着いたら必ず『仲間同士の争いは禁ず』それを最初に言うんだぞ」
奴隷商に行かなくて良いから……今回はこれで良いよな?
魅了のせいで、アイシャは嬉しそうにグルダの腕にしがみついている。
あのダレた雰囲気はすっかりない。
これで…….
「はい、ですが、僕はこの後奴隷商に行こうと思うんです」
「そうか……」
何で奴隷商に行くんだ……今回は用は無いよな。
◆◆◆
「さぁ~此処で待っていてやるから、行ってこい」
結局、俺はついて来てしまった。
グルダの例の刺青のせいだ。
追加でアイシャの名前を刻むそうだ。
確かに、必要だな。
「行ってきますね」」
「いってきます」
2人でルンルン気分で奴隷商に入るような奴グルダしかいないよな。
暫くして二人が奴隷商から出てきた。
「ちゃんと刻んで貰ったか?」
「はい、刻んできました」
グルダのおへその下、俗にいうギャランドゥにメリッサとエムの名前の下にアイシャの名前が刺青でハートマーク付きで追加されていた。
「態々見せなくてもいい……」
「うふふっ、旦那様、アイシャも今日から旦那様の奴隷です……うふふふっ」
「え~と、またか……また奴隷契約をしたのか……」
魅了……思ったより怖いな……グルダの件が終わったら封印するか。
「アイシャさんがどうしてもと言うんで……」
「他の方もしていると聞いたので……」
まぁ、当人たちが良いと言うなら良い。
いいじゃないか。
どうせ、宿に帰ったら4人でお楽しみだろうから……あっ。
「グルダ、これから楽しむのは良いけどよ! やる前にポーション飲んでおけよ」
「気をつけます……」
俺は二人に手を振り、その場を後にした。
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