転生したら美少女魔王だった件
かげるい
第1話 転生したら美少女!?
佐藤悠真、30歳。東京の雑居ビルに詰め込まれた小さなIT企業で、毎日を消耗するように過ごしていた。朝の満員電車で押しつぶされ、残業続きのデスクワークで肩は凝り固まり、唯一の楽しみは帰宅後のスマホで異世界転生小説を読み漁ることだけ。主人公が異世界でチート能力を手に入れ、美少女たちに囲まれてハーレムを築く──そんなファンタジーに、羨望とため息を漏らしながら。「俺も転生できたらなぁ…」とぼんやり思う夜が続いていた。
その日も、いつものようにコンビニでカップラーメンを買って帰宅途中だった。雨がぱらつき始めた夜道、信号が変わるのを待つ悠真の視界に、猛スピードで突っ込んでくるトラックのライトが飛び込んできた。「あ、ヤバい…」と思った瞬間、衝撃が体を包み、意識が闇に落ちた。痛みは一瞬で、まるで夢のように世界が遠ざかっていった。
次に目が覚めた時、悠真は柔らかな何か──おそらくは絹のような布団の上に横たわっていた。体が軽い。妙に軽い。ゆっくりと目を開けると、視界に広がるのは天井高く荘厳な石造りのホール。黒い大理石の柱が立ち並び、壁には不気味な魔物のレリーフが彫り込まれ、赤いカーテンが風に揺れている。空気は冷たく、重く、微かに硫黄の匂いが混じっていた。「ここ…どこだ?夢か?」悠真は体を起こそうとして、違和感に気づいた。胸に重みがある。いや、重みというより、柔らかな膨らみが自分の動きに合わせて揺れる感覚。慌てて手を伸ばすと、そこに触れたのは滑らかな肌と、布地の下の曲線的なフォルム。「え…?これ、俺の体?」
心臓が激しく鼓動を打つ。立ち上がろうとして足を床から下ろすと、長い銀色の髪が肩から滑り落ち、視界を覆った。髪の感触が頰に触れ、甘い香りが鼻をくすぐる。床の横に置かれた巨大な鏡に近づき、映った姿を見て息を飲んだ。そこにいたのは、絶世の美少女だった。透き通るような白い肌、宝石のように輝く赤い瞳、完璧なプロポーションの体躯。身にまとっているのは黒いドレスで、胸元が大胆に開き、腰回りはタイトに締め付けられ、裾はスリットが入って脚のラインを強調している。まるでファンタジー小説の悪役令嬢、いや、魔王のような装いだ。「な、なんだこれ!?俺が…女に!?」
心理的な衝撃が波のように襲ってくる。転生前の自分の体を思い浮かべる──普通の日本人男性の、ちょっと太めで筋肉のない体。なのに今は、この細くしなやかな腕、華奢な肩、くびれた腰、そして…下半身の感覚が違う。股間にあったはずのものがなく、代わりに平らで柔らかな感触。顔が熱くなり、手で触れて確かめようとして慌てて止めた。「いや、待て待て!これは夢だろ?現実じゃねえよな…」しかし、鏡の中の少女が同じように困惑した表情を浮かべ、唇を震わせている。自分の声も変わっていた。高く、鈴のように澄んだ声。「声まで…マジかよ…」
部屋の空気は冷え冷えとしており、窓から差し込む月光が床に銀色の影を落としていた。外は闇に包まれた森らしく、遠くから魔物の咆哮が聞こえてくる。悠真──いや、今の自分はユマ・ルシフェルという名らしい。頭の中にぼんやりと情報が流れ込んでくる。異世界転生の定番か?神様の声みたいなものが、転生の理由を説明してくれた気がする。「お前は魔王として復活した。世界を統べよ」みたいな。でも、そんなの知らない。俺はただのサラリーマンだ。平和に暮らしたいだけなのに、この体でどうしろっていうんだ?
ドアが開く音がして、部屋に数人の人物が入ってきた。跪く彼らを見て、ユマはさらに混乱した。先頭は黒い翼を生やしたイケメンの悪魔、クロウ。筋肉質の体に黒いスーツを着こなし、銀色の髪を後ろで束ねている。後ろにはフリフリのメイド服を着た少女たち──リリと名乗るドジっ子タイプの金髪少女と、クールな黒髪のエルフメイド、シア。「ルシフェル様!お目覚めを心よりお祝い申し上げます!」クロウの声は低く響き、熱い視線がユマの体を這うように注がれる。その視線に、ユマの肌がぞわっとする。「え、なんでそんな目で見るんだよ…」
ユマが立ち上がろうとすると、ドレスの裾が床の端に引っかかり、バランスを崩した。転びそうになる体を、クロウが素早く支える。大きな手が腰に回り、胸が彼の胸板に押しつけられる形に。「ル、ルシフェル様!お気をつけて…!」クロウの顔が赤く染まり、息が荒くなる。ユマもドキッとする。この体、敏感すぎる。胸の先端が布地越しに擦れ、甘い痺れが走る。「は、離せよ!変な感じが…」慌てて体を離すが、ドレスの胸元が少しずれ、肌が露わになりかける。リリがキャッと声を上げ、シアが冷静に直してくれる。「ルシフェル様、まずはお着替えを。魔王の威厳を保つために…」
ユマの心の中は嵐だった。女の体になった衝撃、魔王としての役割のプレッシャー、そしてこの異世界の美しき部下たち。クロウの忠誠心は本物らしく、視線が時折ユマの曲線をなぞるように熱い。リリは無邪気に近づき、「ルシフェル様、美しいですわ!」と頰を赤らめる。シアはクールだが、時折優しい視線を向ける。この体、魅了の力があるのか?小説で読んだような魔王のスキルが、意図せず周囲を虜にしている気がする。
「で、俺…いや、私の役割って何だっけ?」ユマは座り直し、クロウに尋ねた。クロウが説明を始める。100年ぶりの魔王復活、人間界との戦争、世界征服の宿命。だが、ユマの内心は「そんなの無理!俺はただのオタクだぞ。せめて平和に美少女ライフを楽しみたい…」だった。体が熱く、ドレスの布地が肌に密着する感触が、妙に心地よい。女の体はこんなに敏感なのか?歩くだけで脚の擦れ合いが気になり、髪の重みが肩を撫でる。鏡をもう一度見つめ、ため息をつく。「ま、美少女魔王か…悪くないかもな。でも、この露出度のドレス、寒いぞ。もっと普通の服ないの?」
クロウが笑みを浮かべ、「ルシフェル様の美しさを最大限に引き出すためです。魔王軍の士気を高めるのですよ。」その言葉に、ユマは顔を赤らめる。エッチな演出が自然と入ってくるこの世界。部下たちの視線が熱く、ユマの体は反応してしまう。胸がドキドキし、下腹部に甘い疼きが…。「やばい、この体、感じやすいのかよ…」心理的に抵抗しつつも、好奇心が芽生え始める。
こうして、元サラリーマン・悠真の、異世界美少女魔王としてのドタバタで少しエッチな生活が始まった。魔王の城は広大で、地下にはダンジョン、庭には魔物の巣窟。外の世界は冒険者たちが跋扈し、勇者が迫ってくるらしい。ユマはまずはこの体に慣れることから始めなければならない。鏡の前でポーズを取ってみる──胸を張ると、ドレスがきつく締まり、息が上がる。「ふう…これが女の体か。意外と悪くないかも…」しかし、部下たちの熱い視線に気づき、慌てて隠す。リリが「ルシフェル様、可愛いですわ!」と飛びついてくる。柔らかな体が密着し、ユマはさらにドキドキ。
この先、どうなるのか?人間界との対立を避け、平和を目指すか?それとも魔王の力で世界を変えるか?ユマの冒険は、まだ始まったばかりだった。
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