第2話 隣のお嬢様
この学校の部活動が活発かと言われればそうでもない。勉学に力を入れている分部活動にはあまり力を入れていないのだ。だがその中でも文化部はなかなかの成績を残している。吹奏楽部は全国大会に届くような部活動だ。その中で僕は帰宅部を貫いている。
今もこうして学校からいち早く出て近所のスーパーに来ている。
お、今日は豚肉が安売りしてる。豚キムチでも作ろっかな。やっぱり一人暮らしをするにあたって料理はちょっとくらいできないと困る。
このスーパーは近所でもいちばん安いところだ。一人暮らしの俺の財布の味方になっている。
今日の夕食の材料を買って家に帰っている時。工事現場で働くような車たちが俺の横を通り過ぎていった。
あー俺の家の隣の工事現場か、工事終わったんだな。結局なんの施設なんだろ、薬局か、スーパー、ちょっとデカめのコンビニのどれかかな?個人的にスーパーなら嬉しいな。
この角を曲がると家が見える。さあ答え合わせの時間だ。
俺の家の隣にできたのは……………………ん?い、え?
いやいや豪邸すぎないか?土地広すぎるし、プールまで付いてるのか?門がついててあんま中見えないけどやばい金持ちの家だというのはわかる。
ちょっとスーパー期待してたからちょっと残念だな。
てかこの家の住人って何者だ?めちゃ気になるんだが。ってヤバ人の家を覗くヤバいやつになってるじゃん。早く家に帰ろ。
そのまま家に帰り、ゴロゴロとスマホをいじりながらぼーっと過ごして夕食を作って食べた。結局今日の夜飯は豚キムチにご飯と味噌汁というシンプルなものだ。風呂に入ってもう寝るだけだ。
「あっ、だる」
洗顔料切れてる…………買いに行くかー。
でも実はこの風呂に入ったあとに夜の空気にあたるのが好きなんだよな。
そこまで家から遠くないドラッグストアにイヤホンをつけながら歩いていく。最近のお気に入りはHIASOBIの曲だ。
だんだんと睡魔が出てくる帰り道に1台の車が隣の豪邸の前に停まった。あ、お隣さん帰ってきたのかな。ていうかお隣さんとかいっていいのかな?まあ隣は隣だし。
「ありがとうございます」
運転手にドアを開けてもらい、そこから声が聞こえてくる。女性の声だ。上品な声の中に多少の幼さを感じる気がする。
「っっっ!!」
そこから出てきたのは黒く艶やかな髪をもつ女の子。そう、我が学校のお嬢様、東雲麗香だったのだ。
俺はそれを見て固まってしまった。まさか東雲さんがお隣さんだったなんて。
固まっている俺を不思議に思ったのか東雲さんと目があった。しかし、なにも気にすることなく家の門を開けてもらい帰っていった。
俺のことなんか自分と同じ学校だとも知らなかったのだろう。当たり前だ、同じクラスでもないし、東雲グループに並ぶような大企業の息子でもないからね。
それにしても俺の家の隣にまさかお嬢様が来るとはな。まだ信じられないぜ。
まあ特に変わることもないだろうけど。
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