第2話
慶智の杜という学び舎がある。場所は倭の国、一つの間につき二十人ほどの人数がいて共に多くのことを学んでいる。そんな学び舎だ。学び舎というものは基本的には少人数で行われるものである。あるいは、ほぼほぼ一対一で個人に対して行われるものもある。というよりはそれが基本的な形式なのだ。しかし慶智の杜は違う。いわく創設者の者が言った。’’他の者とも交わることにより、「より深くの知がみえる」’’。この言葉を愚直なのか或いは、ともかくこの学び舎はこの教えを守っている。そのため留学生のような遠き国から来る者たちとの交流、そして二十ほどの人数で学びを、知を求める営みが今日も行われていた。
そこに通っているとある少女がいた。名を澪車(みくるま)照(てる)という。彼女は優秀であった。慶知の杜は他の者と比較して上等な学び舎であった。施設や書の量、先生の質どれにおいてもそうだった。そしてなかでも上位の間というものがある。学びの質、そして武芸と家柄多くの資質や先生の贔屓により選ばれる。ともかくとして彼女、照が優秀だった。だからこそ、外の国の言語を学ぶことが強いられる、そんな留学生が学びに来る上位の間に彼女はいたのだ。
そんな中一人の少女照のもとに、いやその彼女がいる間に先生がやってくる。
彼女の鬱滞とした気分をさらに照り付けて強調する、そんな日の光のように、その知らせはやってきた。どうやら遥か彼方からこの学び舎である慶智の杜に留学生が来るという。
この日差しのせいか或いは他の要因のせいかはわからない。けれど、ともかくなんとも言えないものがこみ上げてくる。
なんなのだろうか。わからない。齢が十三を超えて女性になってしまってることを自覚しているからか、わからない。
わからないよ。ただただ不快だ。気分が晴れない。特段深刻なわけじゃないけれど。
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