第4話 管制室ログ

【中央管制室 監視記録/抜粋】


日付:9月15日

記録者:防衛省災害対策局・第七監視班



08:00、調査班ユニットA(笠原悠人、斎宮梢)の生命反応を確認。

心拍・呼吸データは安定。会話音声も明瞭に受信。


08:12、通信回線に異常。

報告書には「高梨翔平」と名乗る第三者の発言が記録されているが、映像には映らず。

生命反応センサーでも対象は検出されなかった。


【監視班コメント】

報告書は調査員が記す一次資料だが、怪異の影響で内容が改竄される可能性を否定できない。

我々が受信している“音声”そのものが虚構ならば、もはや検証不能だ。



【映像記録 抜粋】


08:17

・悠人と梢、祠内部へ進入。

・直後、映像が反転し、カメラに“管制室”が映る。

・こちらを見下ろす黒いシルエットが複数出現。


映像は即座に途絶。



管制室の空気が凍りついた。

オペレーターの一人が震える声で言った。

「……今、俺たちを覗き込んでましたよね?」


その瞬間、非常ベルが鳴る。

モニターの一つに、内部からの報告書が自動転送されてきた。



【報告書 No.04】


提出者:???

内容:

「監視しているお前たちの顔を、こちらも記録した」



【補足メモ】


・区域内部の記録が、管制室の端末に直接侵入。

・提出者の欄に“???”と記載。筆跡は悠人に酷似。

・現場と管制室の“境界”が侵食され始めている可能性あり。



報告書を受け取るたび、我々自身も監視されているのではないか。

……このログを保存することが、新たな怪異の入口にならないことを祈る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る