第6話 はたまた夢か幻か

あまり記憶がはっきりしていないが、宿に戻ったのが深夜だった気がする。

喉が渇いて目が覚めた。ふっと我に返り上体を起こす。気づけば隣に河合麗子が気持ちよさそうな寝息を立ててる。「わっ」と小さな声が漏れる。「ヤバイやっちまった」焦る。混乱する。記憶がない。「とにかく落ち着け俺」ベットをそっと抜け出し、とにかく水分を補給しようと、備え付けの冷蔵庫からペットボトルの水を取り出す。キャップを捻り口に運ぶ。一気に半分くらい飲み、少し落ち着いた。まだ、しっかりと酔いが残っている。左手の腕時計で時間を確認すると、深夜3時を少し過ぎた時間を指していた。とにかく、窓際の椅子に座り、手に持っていた水をさらに一口飲んでから、目の前にある小さなテーブルに置いた。「一体何があったんだ。こんな陳腐なストーリー、あるわけない。」そう呟きながら、しかし、雄二は上半身裸で、パンイチだった。この状況から察するに、やっぱり・・・と思っている所に麗子の声がした。「おはよう、早いのね」と至って冷静な口調だ。「ああ、おはよう」と返してみたが、落ち着かない。すると彼女もベットから出てきて、僕の向かい側の椅子に座る。

「私にもお水頂戴」と言いながら残ったペットボトルの水を口に運ぶ。もちろん彼女も下着姿だ。歳の頃30代後半か40代初めくらいかな?と想像していたが、服の上からも抜群のプロポーションだったのに、下着姿はモロ、セクシーで、ウエストのくびれや腹筋がとても綺麗だった。勿論胸も大き過ぎず、小さ過ぎず。目のやり場に困ると思いながら、見てしまう。いや、見惚れてしまう。呆けていると「どうしたの?」と聞いてくる。「いや、僕たちその・・」と言いかけた時、ニヤッと笑って「やったのか、って聞きたいわけ?」「・・・」「どっちだと思う?ふふ。」そう言いながら席を立ち、僕の椅子の肘掛けのところに腰を下ろし、腕を首に巻き付けてくる。耳元で「どっちだと思う?」と囁かれ、答えられない。夢だ、これは悪夢だ。俺の人生終わった。妻になんて言い訳しよう。と頭の中がぐちゃぐちゃになる。が、彼女の髪が僕の頬や肩にかかる。シャンプーの香りと怪しげな髪の匂いが鼻腔をつく。彼女は僕の頬に手を当て、自分の方を向かせて、てくる。マズイと思っても抵抗なんてできない。いや、むしろどうにでもなれという気持ちで、彼女の腰に手を回し強めに抱き寄せ、舌を絡めた。そのまましばらくキスを続けながら、抱きしめた細い腰をしっかりと抱き、もう片方の手を腰掛けている彼女の足の下に差し込んで、持ち上げる。それでも彼女はしがみつく様な格好になりながら、キスをやめない。この歳の僕にこんな情熱が残っていたなんて、と思いながら彼女をベットに運ぶ。そっと降ろした後、覆い被さる様に状態を寝かせ、片方の腕を首元に回し、もう片方の手はブラジャーのホックを外した。するとキスをやめて「外すの、慣れていらっしゃるのね」と微笑ほほえみ、さらに両腕を僕の首に巻き付けてきた。彼女のブラの下から手を差し込み、乳房をそっと、包み込む様に揉む。ゆっくり、大切な壊れ物を触る様に。そして、だんだん先端に近づく。すでに乳首はしっかりと立ち微かに指先でつまむと、彼女の口から「あっ」と小さな声が漏れ、背中を反らす。その乳首をつまんだり、軽く捻ったり、指先で愛撫する。おもむろに口に含み舌先で転がしたり、赤子の様に吸ったりした。その間に空いた左手は、右側の乳房を揉み、乳首をつまむ。右手を尻の下に入れてショーツの淵に手をかける。少しずつつずらして行き、膝くらいまで下ろす。そのまま乳房の脇を口で愛撫しながら下がっていき、さらには彼女の体を軽く持ち上げ、背中をこちら側に向ける。脇腹から背中にかけて僕の唇は止まる事をせず、そのままうなじまで這い上がって行く。続いて背中から彼女をかかえる様に両手で、乳房を掴みながら、なおも唇で頸に愛撫する。夢中だった。まるで20代の頃のように、初めて女性とSEXした時のような、激しい、いいしれ様のない、頭の芯がぼーっとなり、没頭した。彼女の上半身をくまなく愛撫し、下半身に降りてゆく。そのまま膝に引っかかっているショーツを剥ぎ取り、太ももの内側に唇を這わせる。麗子の息遣いが荒くなる。これで良いのかと、何度も何度も反芻しながら、自分を律する事ができずに、麗子の中に取り込まれて行く。「ダメだ、溺れる」と小さく本音が漏れる。何年かぶりの刺激の波は雄二の心と体を鷲掴みにして離さない。そして激しい情熱は全てを飲み込んでいった。

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