牡丹の花言葉は高貴
俺は教室である人と2人きりになっていた。
えっ?これどういう状況?なんで俺が教室で『玉城山学園の六花女子』の1人に壁ドンされているんだー。
♢♦︎♢♦︎
ときは今日の朝に遡る。
「おにぃー朝だよ。起きて!」
「はぁーい」
俺は琴羽に起こされて、起きた。
ベッドから出た俺は、寝癖がついた状態のままリビングに向かった。
「えーーおにぃー寝癖ひどーい。ひまねぇーに送ろ!」
琴羽がスマホを俺に向けて写真を撮ろうとした。
「撮るなよ!」
そう言って、俺は琴羽が写真を撮るのを阻止した。
俺はリビングのソファーに座り、テレビをつけた。朝のニュースがやっていた。
「速報です。今日朝7時頃、電車で、女性が刺される事件が滝川駅付近で発生しました。犯人は今も逃走中です」
「滝川駅っておにぃーの学校の最寄り駅の近くじゃん。怖いね。学校行くの?」
「行くよ。大丈夫でしょ」
「そういうところが危険なんだよ。何かあったらどうするの?」
「大丈夫だよ」
琴羽は俺のことを心配してくれた。さすが俺の妹、俺が心配なんだな。
「だっておにぃーが刺されたらいじわるできなくなっちゃうじゃん」
そういう意味での心配だった。俺がいなくなったらイジる相手がいなくなるからそれが嫌なだけなのか……。ちょっと寂しいな。ちゃんと心配して欲しかった……。
「悠人ちゃん、朝ごはんできたわよ」
母はそう言って、朝ごはんをテーブルに置いた。
今日のメニューは白飯、お味噌汁、鮭の塩焼き、納豆だ。うちの家では朝ごはんは和食と決まっている。
「いただきます」
俺は椅子に座り朝ごはんを食べ始める。
「美味しいよ。母さん」
「よかったー、いつも悠人ちゃんは美味しいって言ってくれるわね」
琴羽は食べてる俺の前の椅子に座って、机に肘をつけて、足をバタバタしている。
「おにぃー、今日は帰り遅くなる?」
「なんで?」
「だって最近、おにぃー帰ってくるの遅いんだもん」
「別にいいだろ」
「えーだめ。たまには琴とも遊んでほしいの」
「だって琴羽、俺のことイジるだけじゃん」
「楽しいんだもん。それに私がイジるのはおにぃーだけだよ……」
俺はやっぱりイジいやすいのだろうか?琴羽、朝野さん、海風さん。たくさんの人にいじられる。
「今日の天気予報です。今日、玉城山市全域には雨雲がかかり、一日中、雨が予想されます。急な落雷にもご注意下さい」
テレビから天気予報が流れる。俺が玉城山学園に通って初めての雨予報だ。
俺は朝ごはんを食べ終えると、食器をキッチンに片付けて、学校に行く準備を始めた。
準備を終えると俺は学校に向かった。
「おにぃー、行ってらっしゃい」
「おう。琴羽も学校、気をつけて行けよ」
「うん。ありがとう」
家を出るタイミングが良かったのかちょうど雨は降っていなかった。
♢♦︎♢♦︎
「おはよー、鎌っち」
朝野さんはいつもより元気なのか、抱きついてそう言ってきた。周りの男子は俺を「なんだあいつ」というような目で見ている。
「おはよう……鎌ヶ谷君」
五十嵐さんはいつもとあまり変わっていない。
「おはよう」
俺はいつも通り返した。
「ねえねえ、鎌っちー、鎌っちって昔、どんな男の子だったの?」
「何?急に……」
「私も鎌ヶ谷君の昔の話聞きたい……」
「五十嵐さんまで」
「だって、鎌っちともっと仲良くなりたいなって思って」
朝野さんの意図が俺には理解できなかった。昨日、俺たちについてきたことが関係しているのかな……。
「いいから、いいから。」
「昔と今で、あんまり変わってないよ」
「そうなの?じゃあ昔から面白かったんだね」
朝野さんはニヤニヤしながらそう言った。
「やっぱり今日もからかってますよね」
「そんなことないよ。鎌っちって面白いし……それに優しいから」
「優しい?」
「自覚ないの?優しいよめっちゃくちゃ。だって鈴っちの弟くんを助けたんでしょ?それ、簡単なことでめちゃくちゃ難しいよ」
「難しいと思う……」
「俺、妹いるからさ……なんか子供とか見捨てられなくて。そのせいで空回りしたこともあったんだけど」
「空回り?」
「うん。昔ね、男の子達にいじめられて泣いている女の子がいてさ、その子、妹と同じような感じだったから妹だと勘違いして琴羽をいじめるな!とか似合わないこと言っちゃったんだよね。結局、その子には感謝されたんだけど……。笑えるでしょ」
俺は笑いながらそう言った。
「そんなことないよ!」
五十嵐さんが大きな声で言った。俺と朝野さんは驚いた。五十嵐さんがいつもより数倍も大きい声を出したのだから。
「すみっち、どうしたの?急に。びっくりしたよ」
「ごめん……なんでもない……」
そう言って五十嵐さんは黙り込んでしまった。俺にもわからなかった。なんであんなに大きな声を出したのか。
♢♦︎♢♦︎
時間は進み放課後になった。今日は勉強をするため図書室に行っていた。今はその帰りである。
雨がすごく降っている。
「うーー。今日も勉強頑張ったな。」
俺が伸びをしながら歩いていると1人の少女とすれ違った。その少女は美しく長い黒髪と透き通った声、整った鼻筋が特徴的だった。そう、俺が入学初日に会った美少女だ。
彼女はこの学校で、知らない人はいない『玉城山学園の六花女子』の1人である
ピカ、ゴロゴロ。
雷が鳴った。
「きゃー」
後ろから悲鳴が聞こえたので俺は驚いて後ろを振り向いた。すると完璧と言われている新山さんが、頭を押さえながら震えていた。
そして俺に見られたことに気づいたのか詰め寄ってきた。
「わた、わた、わたし、雷なんて怖くないんですからね」
ピカ、ゴロゴロ。
「きゃーー」
明らかに雷にビビっている。普段の新山さんとは想像できないくらいに。
やばい、やばい。私が、雷が苦手なことがバレっちゃった。みんなの期待に応えるために頑張って完璧を演じ続けていたのに。バレちゃったんだからこんなのもうこの男の子と結婚するしかないじゃない
ぼたんはお嬢様であった。総資産1000億円の新山財閥のご令嬢である。そのため恋愛はおろか世間にすらうとい。なのでぼたんはヒミツがバレた=結婚だと思っているのだ。
新山さんは俺を睨みつけるように言ってきた。
「私は新山ぼたん。あなた?名前は?」
「鎌ヶ谷悠人です。安心してください。このことは誰にも言いません」
新山さんのヒミツを知ったからにはただでは済まないと思ったから則座に謝った。俺が悪いのかこれ?
「そうね。鎌ヶ谷くんちょっとついてきて欲しいのだけど」
言われるがまま俺は新山さんについて行った。
すると新山さんは誰も使っていない空き教室に入って行った。
ひとけがない。マジで俺殺されるんじゃ……。
新山さんは俺が部屋に入ると鍵をかけた。
「あの……新山さん?」
「……」
新山さんは無言で俺に近づいてきた。俺はどんどん壁に追いやられた。
「待って、待って新山さん早まっちゃだめだ」
「早まってるつもりはないわ」
そう言って新山さんは手を振りかぶった。俺は殴られる覚悟をした。しかし、
ドン!!!
新山さんの手は壁についた。俺は新山さんに挟まれた。これは世間でいう壁ドンである。
そして今に至る。
「鎌ヶ谷くん、私と結婚してくださらない?」
「はーーーーーー!?!?」
俺は新山さんが言っていることが全くもって理解できなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます