最高の誕生日プレゼントだよ!

俺は海風さんとショッピングモールに来ている。


「次はどこ行く?」


「そうだなー、クレープが食べたいかな」


俺たちはクレープ屋さんへ向かった。そして俺はチョコミントのクレープ、海風さんはバナナとチョコのクレープを買った。


「あれめちゃくちゃ美味しそうだよ。私たちも食べようよ」


「今行ったらバレちゃうでしょ」


相変わらず、朝野さんと五十嵐さんは何をしているんだろう?隠れてるつもりだろうけどバレバレだよ。だけど、海風さんは少し鈍いのか全然気づいている様子はなかった。


「写真撮ろ?」


「いいよ」


俺たちはクレープを持ち2人でツーショットを撮った。

 

「写真いるよね?でも連絡先わからないから、交換しよ?」


「うん」


俺に3人目の連絡先を交換できる友達が増えた瞬間だった。


ピロン。


連絡先を交換するとすぐ可愛くお座りしている犬のスタンプと共に写真が送られてきた。


俺はわからなかった。こういうときどういうふうに返信をすればいいのか、だって友達いたことなかったし……。


俺たちは連絡先を交換した後にクレープを口にした。

 

「いちご甘ーい。悠人くんのはどう?美味しい?」


「美味しいよ」


「よかったー。私のひと口あげるから、ひと口ちょうだい?」


そう言うと海風さんは俺の手を取ってチョコミントのクレープを口に入れた。


「おいしいー」


待て待て、これって間接キスってやつだよな。間接キスって恋人同士がやるものじゃないの?わからねぇ。朝野さんと出会ってからわからないことだらけだ。


「悠人くんも食べないの?はい」


海風さんは食べかけのチョコとバナナのクレープを差し出した。俺は海風さんの食べて欲しそうなキラキラの目に逆らえずクレープを口にした。


「どう?どう?おいしいでしょ」


「うん。おいしい……」


味なんてわかるわけないだろ。間接キスしたんだぞ。海風さんは全然動揺してないみたいだけど、海風さんともなると何回もやってるのか?わからねぇ。


「ねぇねぇ、これまずくない。完全に今、間接キスしたよね?取られちゃうよ私の鎌っちが!!!」


「確かに……。鈴花ちゃんももしかしたらから鎌ヶ谷君のことが……」


?」


「ごめんね……なんでもない」


今にも飛び出そうなひまわりをすみれが止めるという状態が長い間続いた。


「じゃあ、帰ろっか?」


「うん」


俺と海風さんはショッピングモールから出て駅に向かった。


駅に着くと海風さんは寄るところがあるからといって反対方面に向かう電車が来るホームに向かう。


「悠人くんじゃあ私はここで」


「うん。気をつけて……」


「ありがとう。私ね、4月23日が誕生日なんだ。だからこのデートは私のご褒美のつもりだったんだよ。だからねありがとう。・・・・最高の誕生日プレゼントだよ!」


海風さんは笑顔でそう言った。その瞬間は長くも短くも感じた。ただ間違いなくあの一瞬だけは海風さんは誰よりも輝いていてきれいだった。少し友達記念日がよぎったけれど…。


「うん。俺もありがとう」


俺はそういうと家方面に向かう電車が来るホームに向かった。その間、海風さんが笑顔で手を振ってくれたので、俺も笑顔で手を振りかえした。


♢♦︎♢♦︎


悠人がホームを去ってから数分後。


「ねえ、2人ともなんで着いてきたの?」


鈴花は初めから気づいていた。


「あちゃちゃ、バレちゃってたか」


「ごめんなさい……鎌ヶ谷君と鈴花ちゃんのじゃまをするつもりはほんとうになくて……」


「大丈夫。わかってるよ」


鈴花は優しく言った。


「ねえ、単刀直入に聞いてもいい?」


「なに?」


「なに……?」


「悠人くんのことどう思ってるの?」


「友達!めちゃくちゃ面白い友達かな・・・・だけど鈴っちに取られちゃうって思ってるとき嫌だった。なんでだろう」


「友達……。」


なるほど。すみちゃんは悠人くんが好きで、自覚もあるっぽいね。ひまちゃんは自覚はないけど、悠人くんを好きなのは確定かな。だとしたら私がするべきことは……。


「私、悠人くんが好き!2人が悠人くんのこと好きじゃないなら貰っちゃうね!」


鈴花が、悠人に恋をしているのは事実である。だが、鈴花はこそこそと戦って勝ち取るようなことは絶対にしない。だからこそ正々堂々、悠人を勝ち取るための宣戦布告だった。


「貰っちゃうってやだけど……。だって鎌っちは私のだし」


「悠人くんはひまりちゃんのものじゃないでしょ、悠人くんは悠人くんのものだよ……まだまだね」


「私は……鎌ヶ谷君が好きです……。こんな私に……手を差し伸べてくれた男の子は……初めてなんです……だから……負けないです……」


すみれ史上最も大きい声が出た。それを聞いて、ひまわりと鈴花は少し驚いたが納得したかのように3人は誓い合った。これが3人の中で将来語り継がれる『玉城山駅の誓い』である。


♢♦︎♢♦︎


鎌ヶ谷家に戻った俺はまたもや妹にからかわれていた。


「おにぃーどうだった?デート?」


「なんで知ってるんだよ」


「ひまねぇーに聞いた」


どうやらあの電話の一件から仲良くなって勝手に俺の携帯を使って連絡先を手に入れたらしい。


「おにぃーもひどいよね。ひまねぇーがいるのに他の女の人とデートだなんて」


そう言いながらスマホを見せてきた。


そこには2人の会話履歴が書かれていた。


「琴ちゃーん、私たち今尾行中」


(黒スーツのひまわりの写真)


「何してるんですか?」


「君のお兄ちゃん、鎌っちが今からデートするんだって」


「デート?おにぃーが嘘ですよね?おにぃーに彼女がいるなんて聞いたことありませんよ」


(悠人と鈴花が2人で歩いているところの写真)


「ほら!2人でデート中でしょ」


「ごめんね。ひまねぇー。後で怒っとくよ」


「なんで?面白いからいいじゃん」


「だっておにぃーとデートしていいのはひまねぇーだけだよ。それ以外の人は私はまだ認めてないからだめ」


「えーー?なんで?いいじゃん」


「だって……。ひまねぇーはそれでも許せるの?他の女の人とおにぃーがデートしてるんだよ」


「別になんとも思わないかな……。だってデートって友達と遊ぶみたいなものでしょ?」


「ひまねぇーほんとにわかってないの?ひまねぇー、モテてそうなのに」


「私?全然モテないよ。彼氏とかできたこと一回もないし」


「えっ?あんなにかわいいのに」


「えーー、嬉しい」


「おにぃーも童貞なのでおすすめですよ」


「おすすめなところ教えてほしいなー」


「まず、安いです。今なら定価より安く買えます!それに家事ができるので高性能です。あとはからかい耐性があるので長持ちします」


「おぉーいいね。ほしいかも」


「ぜひ、ぜひ」


という内容だった。


「おい待て、最後の数文は俺をネットショッピングみたいな売り方してなかったか?」


「えーー、15点。ツッコミが長すぎます」


「お笑い番組じゃねぇよ!」


「おぉそれそれ。いいツッコミだったよ」


琴羽はたまに俺のツッコミを得るためにボケてくる。まぁ、他の人と比べたら妹と仲良い自信がある。俺が少しシスコンなのかもしれないが……。いやでも琴羽も俺のこと絶対好きだろ!ってところは何度もあった。


「で?どうだったの初デート?」


「普通に遊んだだけだよ」


「普通?ほんとにー?なんか変な気を起こそうとか考えてなかったでしょうね?」


「そんな気、おこさねぇよ」


「でも……ひまねぇーにはおこしてくれていいから!」


「だめだろ!友達だぞ」


「でもーーー」

 

「なんでそんなに首突っ込もうとするんだよ?」


最近の琴羽はやっぱり何かおかしい。俺が朝野さんと出会ってから数日が経ったが、やたらと俺の友達事情に首を突っ込んでくる。


「だって私はただ、おにぃーに幸せになってほしいだけなんだけど」


そう言って琴羽は俺の部屋を出て行ってしまった。


♢♦︎♢♦︎


琴羽は悠人の部屋のドアの前に立っていた。

 

「ばーか」


そう言って琴羽はドアの前を後にした。

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