第3話 変貌する体


 ひとつ、またひとつと呪いを集めるソールであったが、魔王の呪いは彼女の体を蝕んでいく。

 体に封じた呪いが増えるのに比例して、ソールは人間の形から魔物の形へと変質していった。


 角が生え、牙が伸び、爪が鋭利になり、大きな瞳がギョロギョロ動く。

 鱗が皮膚を覆い、体は大きく膨れ上がり、体重を支えきれず二足歩行から四足歩行へ。

 愛らしい顔は火蜥蜴サラマンダーのように成り果て、言葉は片言で、気を抜けば吐息には毒や炎が混じる。



 そして人々はそんなソールを恐れた。


「きゃあっ! 魔物よ、魔物がやって来たわ! 自警団を呼んでっ!!」


 叫び、


「あっちに行け化け物めっ! これでも喰らえ!」


 石を投げ、


「一斉に魔力弾を撃ち込めっ!!」


 全力で殺しにかかる。

 かつて魔王を倒した勇者一行。その一員である魔法使い・ソールと目の前の化け物が同じ存在であるとは誰も思わなかったのだ。



 ソールの身も心もボロボロに傷ついていた。しかし彼女は呪い集めの旅を決してやめようとはしなかった。

 呪いが無くなり、真に平和となった世界。それが彼女や勇者が懸命に目指した世界なのだから。

 彼女の旅は108の呪いを集めるまでは決して終わりはしない。

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