第2話 呪い集めの旅


 魔王が残した呪いは天才魔法使いソールであっても解呪することが出来ない。

 なのでソールは魔王の呪いを自らの体に集めて封じ、最後は呪いと共に自ら命を絶つことを決める。



 ある時、ソールは毒の煙を吐く大樹が生える森へと訪れる。

 大樹は魔王の呪いで変質し、近辺の村々の住人達を困らせていた。


「この森は街へ行く為に必ず通らなければならないのですが、今ではそれが叶いません」


「森で猟をしなければ我々は生きてはいけません」


「森の恵みをどうか取り戻して下さい」


 ソールが大樹に触れて呪いを封じると、たちまち毒の煙は消えてしまった。

 村人達は彼女にとても感謝した。



 またある時、ソールは体に魚の様な鱗が生えてしまう奇病を患う集落へと訪れる。

 集落の者達の肌は硬い鱗に覆われ、とても人間には見えなかった。これも魔王の呪いだ。


「お助け下さい、この見た目のせいで魔物に間違えられ迷惑しています」


「この鱗のせいで隣の村の彼との婚姻が破談になりました」


「剥がしても剥がし鱗が生えてきて頭がおかしくなりそうだ」


 ソールが鱗へ触れて呪い封じると、鱗はボロボロと剥がれ落ちて再び生えてくることはなかった。

 集落の皆は彼女に深く感謝した。



 ソールは世界のあちこちを巡り呪いを自分の体へと集める。人々を救う為、そして勇者との約束を果たす為に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る