〜冷たくなった幼馴染と距離を置いてみた〜 そして幼馴染は病んだ。

第11話 届かない想い

　沙夜(幼馴染)視点

　教室の昼の光が淡く差し込み、机やノートを縁取る温かい光が、胸の奥に微かな痛みを呼び起こす。

　悠斗の横顔が視界に入るたび、胸がぎゅっと締め付けられる。肩の揺れ、呼吸のリズム、指先の微かな動き

　――すべてが、無意識に目を追わせる。

　けれど、その感覚は以前のように心地よくはない。

　胸の奥のざわつきが苛立ちに変わり、胸の奥にわずかに疼く痛みが広がる。悠斗の関心は、もう私だけのものではない。

　視界の端で、教室奥から弾む声が聞こえる。

　――あの後輩、七瀬。

　軽やかに響く声が胸の奥の苛立ちを刺激する。

　悠斗が視線を向ける瞬間を想像するだけで、胃の奥がひりつき、軽く吐き気が込み上げる。

　手のひらに力を込め、机の角を握りしめる。

　指先は微かに震え、握る力は痛みを伴うほど強まる。苛立ち、嫉妬、困惑――混ざり合った感情が胸の奥でじわじわと膨らみ、呼吸を重くする。

　教室のドアが開き、七瀬が入ってくる。

　薄い亜麻色の髪が揺れ、胸を張って歩く。その軽やかで無防備な笑顔が、胸の奥の小さな何かを弾けさせる。

「先輩、おはようございます！」

　明るく響く声に、胸の奥がぎりぎりと締め付けられる。悠斗は自然に微笑み返す。――あの笑顔が、私のためじゃないことを、はっきりと突きつけられる。

　視線が悠斗から離れず、思考が小さく零れ落ちる。

　胃の奥が痛み、指先の震えが止まらない。

　胸の奥で、嫉妬心が熱を帯びて渦巻き、苛立ちが体の末端までじわじわ広がる。

　冷たい表情を作ろうとする。

　わずかに身体を後ろに引き、視線を逸らすことで、悠斗の視線を奪えた瞬間、胸の奥の熱が少しだけ静まる。

　だが、七瀬の小さな仕草が再び胸の奥を刺激する。鼻を鳴らす、くるくる変わる表情、軽やかに笑う口元――そのすべてが、苛立ちと嫉妬を増幅させる。

　――なんで……あの子に笑うの……

　――どうして、私だけじゃないの……

　胸の奥に小さな痛みがうずく。

　呼吸は乱れ、吐き気がわずかに顔を出す。手の震えも止まらず、机を握る指先に力が入りすぎて痛い。

　視界の先に悠斗の横顔を見つける。

　少しでも自分に向けたいと無意識に体を前に傾けるが、七瀬の笑顔に奪われた視線を取り戻すことはできない。胸の奥で、じりじりと焦燥が焼ける。

　胸の奥がざわめくたびに、吐き気とともに体が微かに震える。悠斗の笑顔が自分に向かないたびに、胸の中の嫉妬が燃え広がる。

　どうして、あんなに無邪気に平気で笑えるの――？　

　どうして、私だけではなく、あの子にも向けてしまうの……。

　指先に力を込め、机を握りしめる。

　息を整えようとするが、胸の奥の苛立ちは消えず、体の芯にじわじわと熱が広がる。あの笑顔を独り占めできないもどかしさ、悠斗の視線が私から外れるたびに胸を刺す痛み――それが次々と押し寄せる。

　吐き気、胸のざわつき、微かな震え――私の体が、感情の渦に翻弄されていく。

　どう後悔していくのやら…

　先の展開が自分でも気になる。

　コメントで欲しい展開とか質問とかあったらドゾー