猫カフェ(裏)にドハマりした少年の末路。
風遊ひばり
少年、君も癒されてみないかい?
まえがき
どうして連休は終わってしまうのか……。
現実逃避して新作投げます。
─────────────────────
『もしもし。
「あら先生、いつもお世話になっております。……何かありましたか?」
『はい。夕食時にすみません……
「あぁ、それなら
『……
「えぇ……あの子、運動があまり得意ではないようなので……」
『そう、ですか……。お母様、そのことでお伝えしなければならないことがあるのですが……』
「なんでしょう?」
『
「……えっ?」
『放課中で見ていた先生はいなかったのですが、見ていたクラスメイトの話では、2人の男の子に追いかけられている途中に転んだのだと……』
「…………」
『私は保健室から知らせを受けて
「
『分かりません。
「え、えぇ……それなりには。でも、追いかけられたとか嫌がらせをされているとかは何も……」
『やはりそうですか……何か本人なりに理由があって隠しているのかもしれません』
「先生っ、どうしたら良いのでしょうか……?」
『無理に聞き出そうとしたら、余計に意固地になって逆効果です。何気ない感じで学校の様子を聞きつつ、本人が言えるようになるまで辛抱強く待つのが良いかと……』
「わ、分かりました……」
『こちらからも、学校での
「ありがとうございます、先生……引き続きお世話になります」
『それではまた明日、学校で
「はい、失礼します……」
「…………
「……? どうしたのお母さん」
「
「学校は楽しいよ? 最近鬼ごっこが流行ってるんだ! でも僕走るの遅いから、すぐ捕まっちゃうんだけど……」
「っ……そう、何か変わったことはない?」
「うーん……あっ! 今日ね、漢字のテストで100点取って先生に褒められたんだよ!」
「そうなの……それはよく頑張ったわね」
「うん……♪」
本当は辛かった。何者でもない自分が。
僕のお父さんは有名な俳優で、お母さんは音楽家だ。どんなことも完璧にできて、とってもすごい自慢のお父さんとお母さんだ。
そんな二人の間に生まれた僕も大勢の人に期待されて、音楽もお芝居も……水泳や空手、習字だとかとにかく色々なことに手を出した。
けど、そのどれもが中途半端で、お父さんやお母さんみたいなすごいことはできなかった。
期待に応えられない自分が嫌になった。
そんな風にうじうじしている僕が気に入らなかったのか、それともどんくさい僕が面白かったのか。クラスの子から嫌がらせを受けることもたくさんあった。
でも、これをお父さんやお母さんに知られてしまったら、お仕事の邪魔になってしまうかもしれない。
僕は、お仕事をしているお父さんとお母さんが大好きだから。
だから、僕が少し我慢すれば———
お母さんと学校の話をした翌日の夕方、日が傾き始めた道を、僕はトボトボと歩みを進める。ポケットの中では、ぐしゃぐしゃに丸められた紙が、カサカサと音を立てる。
僕が思わずぐしゃぐしゃにしてポケットに押し込んだこの紙には、誰かが僕に対して書いた悪口が、これでもかと書かれている。
……もしお父さんとお母さんが知ったら、仕事どころじゃないかもしれない。だから友達にも先生にも、お父さんとお母さんにもなんでもない顔をして、自分の中にだけ押し込んでおく。
……誰かに話せたら、どれだけ楽になるだろうか———
「わぷっ……!」
「わわっ! あっ、大丈夫!?」
そんな風に思いつめ、前もろくに見ずに歩いていた僕は、どうやら人にぶつかってしまったようだ。
尻もちをついた僕が顔を上げると、そこには慌てた表情を浮かべる綺麗なお姉さんがいた。何か紙の束のようなものを片腕に抱え、何故かネコ耳と尻尾が見える。
「ご、ごめんね! 私が見てなくて……ケガはない!?」
「う、うん、大丈夫……です」
「本当? それならいいんだけど……さすがにこんな小さい子にケガさせたとかなったら、私どれだけ怒られるか……」
「僕の方も、あんまり前を見ていなくてごめんなさい」
「まあっ、なんて良い子……でも、なんでそんな寂しそうな顔してるの?」
「えっ……?」
僕と視線の高さを合わせるようにその場に屈んだお姉さんは、じっと僕の目を覗き込んでくる。とても綺麗で大きな瞳に僕の顔が映り、なんだか気恥ずかしくなってしまった僕は思わず目を逸らす。
「ふむふむ……さては学校で嫌なことがあったな?」
「べ、別にそんなこと……」
「皆まで言わずとも分かっておる」
腕を組んで、それっぽく口調を変えながらうんうんと頷くお姉さん。芝居がかった様子なのに僕の心のど真ん中を撃ち抜かれたようで、なんだか無性に悲しくなった。
「ま、こんな変な格好してるお姉さんにいきなり言われて、『なんなんだ』って感じだろうけど……嫌なことがあったらそれを発散しないとやってられないよ? どうかな、僕も癒されてみないかい?」
そう言って、意味ありげにニヤリと口元を歪めたお姉さんは、抱えていた紙を一枚取って僕へと差し出してくる。
それを受け取り覗き込んでみると、そこには———
「ネコに癒されるってのもいいもんだよ?」
「ネコカフェ『
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