第15話:巨大タコ再襲来!三人で墨まみれ

湖のほとり。

嫌な振動が足元から伝わってきた。


「……また来やがったな」

水面が割れ、前回逃げた巨大タコが再登場。

墨を噴き上げながら、屋台めがけて突進してくる。


「ぎゃああああ!墨呪術だぁぁ!!」

村人たちが大絶叫。


「ユウタさん、頑張ってくださいませ!」

姉は手を合わせて応援。

「アンタが守らなきゃ、姉さまが危ないでしょ!」

妹は鋭い目で叫ぶ。


「……いや俺、ただの粉もん屋なんだけどな!?」


タコの足がドシンッと屋台に叩きつけられる。

鉄板がガタリと揺れ、焼きかけのたこ焼きが宙を舞う。


「ちょ、今いいとこだったのにぃぃぃ!!」

ユウタが必死に玉杓子で受け止める。

だがタコはさらに墨を噴射。


一瞬で視界が真っ黒。

姉「きゃあああ!」

妹「げほっ……くっさ!!」

ユウタ「おい、これじゃ前が見えねぇ!!」


墨まみれの中、村人たちは大混乱。

「闇が広がるぅぅ!」

「目が!目が……でもうまい!!」

……やっぱり味わってんのかよ!?


タコの触腕が再び振り下ろされる。

反射的にユウタは鉄板を盾に構えた。


――ジュウウウ!!

熱でタコの足がじゅっと焼ける。

タコは驚いて足を引っ込め、墨をぶちまけて後退した。


「おおおお!鉄板が魔獣を退けた!」

村人たちが歓声を上げる。

「いや盾じゃない!これは焼く板だから!!」


墨で真っ黒になった屋台。

姉の髪も妹の服もぐっしょり。

ユウタも顔まで真っ黒。


「……なぁ、俺たち今どんな格好?」

「真っ黒……まるで、たこ焼きみたいですね!」(姉)

「誰が丸焦げボールよ!!」(妹)


大笑いする村人たち。

ユウタは頭を抱えた。


「……また屋台が戦場だよ」


夜。

墨を洗い流した鉄板を見つめながら、ユウタは呟いた。

「……でも、焼く相手がいる限りは、続けるしかねぇな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る