第5話:森で油探し!精霊酔っ払い大暴れ
「油がねぇ……」
屋台の鉄板を前に、俺は絶望していた。
ソースはある。粉もある。タコも……いや、タコはもうモンスターに墨まみれにされたけど、なんとかなる。
だが油がない。これじゃ焼けねぇ。
「兄者よ!森に行けば“黄金の樹脂”がある!」
村人が胸を張って言う。
……その言い方やめろ、ただの植物性油だろ!?
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森の奥。
ざわめく木々、差し込む光がちらちら揺れてる。
その中心にあったのは――巨大な油の泉。
「おぉぉぉ!マヨネーズの母だ!!」
村人たちが土下座。
……落ち着け、ただのオリーブオイル系だ。
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俺はひしゃくを突っ込んで、油をすくおうとした。
その瞬間。
――ポコォンッ。
泉から小さな精霊が飛び出した。
透き通る体、ぷかぷか浮く。
……なぜか顔が赤い。
「ん……ヒック……誰だぁ?オレの酒盗んでんのかぁ?」
酒!?いや油だろこれ!!
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【誤解コメディ】発動。
「兄者!やはりこれは聖なる酒!呑んだら死ぬやつだ!」
「いやいやいや、ただの油だから!料理用だから!」
「じゃあなぜ精霊が酔っている!?呪術か!?」
精霊はくるくる回り、森中に油をぶちまけ始めた。
ドバァッ!
ギラァァァ!
木漏れ日に反射して、まるで炎の海。
「わっはっは!オレの樹脂パーティだぁぁ!」
……完全に酔っ払いである。
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俺が慌てて油を拭こうとした瞬間――
――ボフッ!!
焚火の火花が油に着火。
一面が炎に包まれ、村人全員が叫ぶ。
「森が燃えるぅぅぅ!!」
「呪術の鉄板が山火事を呼んだぁぁ!!」
「滅びだぁぁぁ!!」
いや待て!俺まだ鉄板使ってねぇから!!
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【ギャグ爆発シーン】
精霊が酔っぱらいながら炎の中を泳ぎ回り、油を飲んでゲロォォッと吐く。
それが火に触れて――ドゴォォォン!!
大爆発。
木々がドミノ倒し、村人は全員真っ黒焦げ。
……油ひとつ取りに来ただけなのに。
俺は頭を抱えた。
「マジでこの世界、材料集めるだけで命がけなんだけど……」
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夜。
手に入れた瓶詰めの油を見つめながら、俺はつぶやく。
「……でも、これでまた焼けるな」
焚火にかざす瓶は黄金色に光り、まるで希望みたいに揺れていた。
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