Death人狼② 第四話

 朝になる。またもや人狼の襲撃はない。人狼はあと一人。狂人もいるかもしれない。

「今日で当てたいよな……」

悟がつぶやく。

「ああ。絶対に当ててやる」

大樹が答えたが、後の二人は何も言わなかった。


 「議論の時間です。広間へお集まりください」

GMの掛け声で広間に集まる。

「俺は占い師で確白だよな」

悟が確認する。

「もちろん。グレーは君以外、全員か……」

望が考え込む。

「少しいいかな。ぼく個人の勝手な憶測だけど、ぼくは大樹が人狼だと睨んでる。ぼくは白だし、悟も白。百夜も行動はほぼしてないから白だと思う。だから消去法で大樹」

「はあ? ふざけんなよ、お前! 俺様から見たらお前こそ怪しいと思うけどな!」

「へえ~、なるほど? 君から見たらそうなるのか!」

バチバチッと火花を散らす大樹と望。

「落ち着けよ」

悟が仲裁に入った。

「投票の時間です。投票箱に投票用紙を入れてください」

(くそ! 早すぎる!)

「ぼくは絶対に君に入れてやる」

「ハッ! 俺様もお前に入れてやる! どっちが消えるか楽しみだな!」


 「開票します。今回、追放されるのは……林大樹さんです」

「はあ⁉」

「あっはは。みんな君が怪しいんだってさ」

「くそくそくそ! くそっ!」

大樹がギロリと望を睨んだ。

「絶対に呪ってやるからな。俺様に投票したこと、死んで償え」

そう言った途端、バタリ、と倒れた。手足や首などがあらぬ方向に曲がっている。おそらく全身骨折――

「残ったのは三人ですね。では結果を発表します。今回は村人陣営の勝利です」

「ほらね! やっぱりそうだった!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

内訳は

斎藤蓮 …人狼(死亡)

林大樹 …人狼(死亡)

城ケ崎雅…狂人(死亡)

村上杏奈…村人(死亡)

百夜  …村人

桃宮望 …村人

山上悟 …占い師

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 「願いはどうしますか?」

悟は言う。

「村上杏奈を生き返らせてほしい」

GMはにやり、と笑った。

「申し訳ございません。一度、生き返らせた人間は二度は生き返らないようになっています」

「え……あ、じゃ、じゃあ……このゲームに参加したくない。二度と俺を参加させないでほしい」

「前回の願いで強制参加となっています」

(そうだった……)

「はあ……保留で」

「かしこまりました。では、百夜さんは?」

「俺もない」

「では望さんは?」

望は少し考えてから「ない」と答えた。

「全員、保留ですか。欲がなくていいですね。それではまたのお越しをお待ちしております」


 そして悟は気付くと自宅のベッドで寝ていた。

「気分悪い……」

悟は学校へと行くとクラスメイトに話しかけた。

「なあ、村上杏奈って……」

「ムラカミアンナ? 誰、それ」

「え……あ、いや、何でもない」

全員、村上杏奈のことを覚えていなかった。どこかむなしい気持ちのまま、悟は毎日を過ごした。

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