ぼっち探偵にこの恋を解かせたい1
浅白深也
プロローグ
まだ春のぽかぽかとした陽気が残る五月上旬。
俺がいつものように登校して昇降口に行き、靴からスリッパに履き替えようとした時だった。
スリッパの横に、白の洋型封筒が立てて置かれていることに気づいた。
怪しく思い、手に取って両面を見る。
どちらにも何の記載もなく、雑貨店に売ってそうな『For You』と書かれた丸シールで封がされている。
少し考えてから、封を開けることにした。俺の下駄箱に入っていたことからして俺宛だし、もし誤って入れたとしても中を見ないことには送り先が分からない。
中には一枚の便箋が入っており、ワープロ文字の横書きでこう書かれていた。
『
あなたのことが好きです。
5月15日の放課後までに、あなたからの告白を待っています』
文面に目を通してひととき呆然としたのち、ふたたび文頭の宛先人を確認する。
──俺だ。俺は
俺は素早く辺りを見回す。
しかしどこにも生徒の姿はなく、陰から俺の様子を面白がっているやつもいない。
そこで一つの可能性が頭を過ぎり、激しい動揺が胸のうちに広がる。
俺はその日から、匿名のラブレターに頭を悩ませることになった。
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