急に矢が飛んできたんだが!?〜名前以外すべて記憶喪失の俺がイチ歩兵から一国の君主に、妾たちとのんびり建国ライフ〜
紅林ミクモ
第1話 奇襲
「うわっ!!」
反射で左に頭を傾けた時、矢は右頬をかすめて行った。すると悲鳴が上がった。避けた矢が後ろに当たったのだ。
「奇襲だ!!」
近くにいた人間が叫ぶ。周囲の人間が散開し辺りの景色が見え始める。右頬がまだ痙攣している。
視界は草原で正面に小さな森が2つ先へ続く道を挟むようにして鎮座している。さらに目を凝らすと何やら人影が見える——
「おい!!突っ立てんじゃねえ!!」
突然後ろからの怒号と共に蹴倒され、地面に激突した。幸い地面は柔らかい土だったので怪我は無い。
矢が再び頭上を飛ぶ。
「敵はごく少数だ!!後ろ前進!!」
蹴飛ばした奴と同じ声だ。後ろにいた人間達が横一列になって森へ向かった。皆銀色の鎧を着ていて、後ろからの太陽が鏡のように反射し目に強く突き刺さる。
彼らが森に入ってからしばらくして、悲鳴が上がり再び静かになった。次に一人の兵士が森より現れた。
「伏兵です。全て排除しました」
「よし全隊、小休止!!」
号令がかかると同時にさっきまで伏せていた周りの兵士達がだらしなく立ち上がった。
片膝を上げ立ち上がる。着ている甲冑からするに自分も兵士だと気づいた。そして振り向くと数十人の兵士達が立ち上がって談笑していた。
俺はどうしてここにいる?何故こいつらは戦っている?俺は何者だ?
そして、俺は彼らの言葉を知っているんだ!?
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