3.実験
高性能な保冷能力――わたしはこのボストンバッグを実験することにしました。
まずはアイスクリームです。
自宅から歩いて三十分くらいのところに、美味しいアイスクリームを売っているお店があります。十個くらい買って、保冷剤なしにボストンバッグに入れます。
家に戻り、もちろん、冷凍庫には入れません。
ボストンバッグに入れたまま、一週間ほどそのままにしておきました。
もちろん、わたしの家は南極・北極博物館ではないので、氷点下なんかじゃありません……通常の温度です。
夏だと二十五度くらいにしています。
一週間後、どうなっていたと思いますか?
アイスクリームは溶けていませんでした。
次に砂時計で実験をしました。
砂時計を反対にして、ボストンバッグに入れます。
二十分ほど待って、ボストンバッグの中から砂時計を取り出します。
どうなっていたと思いますか?
砂が上に溜まったままだったのです。
ボストンバッグの中から取り出した途端に、砂が落ち始めました。
最後の実験です。
ボストンバッグの中にアナログ式の置き時計を入れました。
ボストンバッグに入れる直前まで、ちくたくと針が動いていました。
ボストンバッグの中に入れると――針が動きを止めました。
一時間、三時間、半日しても、時計の時間は進みませんでした。
電池がなくなったんじゃないか? 故障したんじゃないか?
でも、ボストンバッグの中から取り出した途端に、時計の針は進み出しました。
わたしは確信しました。
このボストンバッグの中では時間が経過しない。
明らかに、このボストンバッグは怖い物です。わたしが手にしてはいけないものです。考えられないことが起きます。
わたしには闘病中の友人がいます。
実は、吉祥寺でボストンバッグを買った日にその足で明美ちゃんの家にお見舞いに行きました。彼女、在宅で治療をしているんです。
わたしが、買ったボストンバッグを携えて明美ちゃんのお見舞いをした日から、彼女の体調はどんどん悪化しています。
わたしは思うんです。ボストンバッグ、悪霊とか、変なものが憑いてるんじゃないかって。
どうにかしてもらえませんか?
あと、ボストンバッグがどうにかなれば、明美ちゃんの体調はよくなるでしょうか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます