ブラックパープルメンソール   第7話

 『レッドアラート』


「反応はこの辺なんだろう?」

 おれはイヤホンに話しかけた。

「はい、かなり微弱ですが」

 オペレーターが答えた。 

 ラブホテル街を歩く。 

 日も暮れ、気温も低い。暖を求めるように、足早にホテルへ人が消えていく。

 路地裏に一匹の猫がいた。

 茶トラの猫。

 猫は歩くために足を動かしている。

 でも、見えないルームランナーにでも乗っているかのように前に進めない。

 猫がバグってる。

 侵入者が近い証拠だ。

 急に鳴った警報音に思わず、顔をしかめる。

「レッドアラート発令! 

侵入者を感知。

キャラクター照合一致。

横川圭一。

通称·舌切り。

同じ位置に微弱な禁制物の反応も感知しました」

 侵入者がそのオリジナルの正体を現すと、そのキャラクターを感知することができる。

 微弱な禁制物反応。

 本当に持っているのか?

「よし、Sコード発令! 

権限をすべてこちらに渡せ」

「S級ダイバー、403·0965。

コードを確認しました。

すべての権限をあなたに一任します」

 オペレーターの声を聞き、おれは革コート内ポケットからサングラスを取り出し、かけた。

 サングラスからの視点。明るい視界。侵入者の情報が映し出され、反応感知地点までのナビゲーションが始まった。


 第8話へ続く

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