迷信から事実に
――また来る。
胸の奥を掻きむしるような痛みに、咄嗟に口元をハンカチで押さえる。次の瞬間、込み上げてきたものを堪えきれず、また吐き出す。
ハンカチを握りしめる手が震える。布の上には血の滴を帯びた花びらが重なり微かに甘い香りが漂っていた。
掌のハンカチ越しの花弁をぎゅっと握り、布団に倒れ込む。涙が頬を伝い、花弁と混ざる。
息をするたびに胸の奥で痛みとともに恐怖が美緒を苛む。
落ち着いてから、ハンカチごとゴミ箱に花びらを捨てて、今起きたことを調べた。
――恋をして報われない者は花吐き病にかかり、想いの強さで体内で花が咲き、やがて命を奪う――
ただの迷信だと思った。そんなものあるわけないって。
でも、今起きたことは現実であり誰も否定できない証拠だった。花吐き病は存在すると。
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