始まり
「は…まさか……私……姉さん……が、好き……なの……?」
思わず呟く言葉に、胸が熱く、痛くなる。
姉・紗羅は大学生で、明るく優しく、美緒にとって憧れであり、最も近くて、触れてはいけない存在だった。
禁断の恋心――それが美緒を蝕んでいたのだ。自覚をしてしまうと、納得してしまった自分がいた。
ハンカチ越しの花びらをぎゅっと握り、布団に倒れ込む。
涙が頬を伝い、花弁と混ざる。
息をするたびに胸の奥で芽吹く花が、痛みとともに美緒を苛む。
「姉さん……ごめん……でも、もう止められないよ……」
夜が深まるほど、胸の奥で花の気配は膨らむ。
どんなに心を押し殺しても、想いを偽ろうとしても、体は正直に反応してしまう。
その夜、瑠奈は初めて、花吐き病の本当の恐怖と姉への禁断の愛の深さを知った。
そして、知られずに過ごす日常の苛烈さが、これから始まる長い戦いの序章であることを悟ったのだった。
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