奴隷商人一家に夜逃げされた俺、助けたエルフたちに懐かれる
赤倉伊月
第一章 ゼクスフォード領編
第1話 夜逃げされてから始まる破滅回避
「……ここはどこだ?」
見知らぬ天井。鏡に映るのは、黒髪の青年。
「……アッシュ・ゼクスフォード? まさか、あの破滅貴族の……」
気づけば俺は、恋愛シミュレーションRPG『流れ星のアリス』の中で、プレイヤーからボロクソに嫌われていた中ボス貴族に転生していた。
——しかも、原作では国に粛清される予定の男に。
「いやいや冗談じゃない!俺、死にたくねぇぞ!」
慌てて執務室の金庫を開けるが、既に空。
そして机の上に残された一枚の書置き。
『アッシュよ。この手紙を見てるってことは私達が誘拐されたっと思ったか。違うな、いまはどこかの国で家族達と幸せに暮らしておる。そこで私が抜けた後この領主の後継人としてお前に任せる。おっと礼はいい、ただもう二度と会うことはないが、がははははっ!』
「あの、腐れ親父がぁ!!」
手紙を細切れにするが俺の怒りはまだ収まらなかった。
それから机の上に置いてあった資料を集め愕然とした。
書かれていた資料は今年度の奴隷売買の売り上げ高。
最近この領地の奴隷売買の売り上げがみるみる下がっていき。
それに気づいた父がこの領地の奴隷商人達の儲け金を盗み、責任を俺に押し付ける形で家族と使用人達は揃って夜逃げしていた。
「まさか……どおりでアッシュがこの領主になれたわけか」
俺はクズな家族の責任を背負いこのまま破滅に突き進む始末かぁ……
「いや。寧ろこの屋敷を独り占めに」
こんな夢のような広い屋敷、前世では一生縁がないと思った。でもいまは、
「今日からこの屋敷は俺の物だ!」
両手を上げこの広い屋敷を堪能しよう。
「だがこれから俺に起きる破滅フラグをどうにかせねば」
俺は深く考え今後の方針を考える。
「まずは破滅フラグを消さないとな……」
奴隷商人どもを潰して、俺の破滅を潰す。そして――できれば、この屋敷で平穏にニート生活を満喫するんだ。
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