其の捌 神戦闘能力検定 

「とどめだ!!」


その声が科目女子達の全身に伝わる。


「オト!!!」


ミライが叫ぶ。そのうちにも、ファーミットはオトに迫りくる。

ダメだと思った瞬間、オトが動いた。


「やれやれ……。本当は出したくなかったんだけど、仕方ないね」


さっきの苦しそうな様子と裏腹に、今のオトは強い気をまとっている。

ファーミットがある程度近づくと、オトはヒュッと飛んだ。


「……っ」


ファーミットはよけられたということを認知すると、上を向く。

丁度オトがおちてきた時だった。オトはクルッと空中で回ると、足を伸ばしてファーミットの後頭部を思いっきり蹴った。


「うわぁぁっ!?!?」


ドサッ

ファーミットは前のめりになって倒れる。


「ふぅ……」


オトが息をついて手をパンパンと払う。


「すごい、オト!」

「えーー、私より強いんじゃなあい?」

「へへへ、まあね。だって私、神戦闘能力検定準1級だもん」


その衝撃の一言に、科目女子達は騒然とする。


「準一級!?!?」

「すごっ!」


いくら準だとはいえ、一級は一級。ファーミットが勝てないのも仕方ないだろう。

すると、ファーミットが「ぐぐぐ……」と言いながら起き上がる。


「じゅ、準一級か。油断してたぜ……」

「言ったじゃない、命知らずねって。大丈夫?神なんだから、生きてないと」


オトが手を差し伸べる。

神が死ぬってどういうことかよくわからないが、とにかく大変なことだとオトは考えたのだった。


「で、これに懲りてココロの指輪は狙わないこと。いーい?」


オトは笑っているが、目が笑っていない。

思わず「は、はい……」とうなずいてしまうファーミット。

やれやれという感じで息をつくと、ダルサの方を見るオト。


「あんたもやる?ま、9.999999%の確率で私が勝つと思うけど。」

「い、いえ。結構です……」


自信満々のオトにたじろぐダルサ。


「す、すごい!オト、すごぉい!!!」

「準一級っ!?それってすっごいムズイんじゃなかった?」

「いやぁ~~」


オトは照れたように頭をかく。


「音楽ってさ、いろんなときに生まれるんだよね。だから、運動も大好き。ってことで、受けてみたら楽しくなっちゃって。いつの間にか準一級になってたんだぁ~~」


ポカンとオトを見る科目女子達。

――ただもんじゃないな

ダルサはすーっと後ずさりする。


「逃げるなよ、ダルサ!!」


ヒカリがかみつく。ダルサはビクッとして止まる。


「しれっと逃げてんじゃねーぞ」

「チッ、バレたか」

「いや、そりゃわかるだろーが」

「似たよーなこと言ってんじゃねえぞ、見つかったからには、勝負する!!!!」

「は……?言ってる意味が分からん」

「言ったとおりだっつーの。なんでわかんねんだよ」


――いや、私達もわかりませんが

心の中でツッコむ科目女子達。


「とりゃああっ!!!」


あれ、いつの間に戦いが始まっていた……

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