其の漆 指輪を狙う者たち

「な~~、よこせよ。つうかさ、俺以外にも狙ってるやつっていっぱいいるわけ。俺に渡した方が楽じゃない?暴力振ってくる奴より俺の方がよくない?なあなあ」


ココロは沈黙して指輪に手を当てる。


「そっ……なんで、私の指輪を?」

「パワーがあるからに決まってんだろ。そのおかげでお前、病気になったこととか、そういうことないだろ?」


ココロはそっとうなずく。


「ほらな、じゃ、よこしな……」

「やはりか……。お前がココロ、サエだな。その指輪、俺によこせ」


乱入して入ってくる声に驚く科目女子達。


「誰!?」

「なんでこれ以上ややこしい奴が増えるわけ~~っ」


オトたちが叫ぶ。

その声の元を見ると、そこ言いたのは一人の男。


「俺の名前は、アラザ。アラザ・ファーミット」

「アラザ……アラザン?アラザンってあの、丸い食べれるヤツ?」

「アラザンじゃねえ、バカっ!!」


目の前にいる男と、あの銀色の丸い砂糖菓子が結びつかなくて思わず笑ってしまう科目女子達。


「笑うな!いいか!俺は着物の神なんだぞっ」


目の前にいる男と、あの華やかな模様の衣服が結びつかなくて思わず笑ってしまう科目女子達。


「っ~~~!後悔することになるぜよっ」

「ぜよ?坂本龍馬~~?あっははは、噛んでるじゃん」


オトがコロコロ笑う。

ファーミットの頭に血が上りはじめる。

顔が真っ赤になって、口をつぐむ。


「お前……俺を舐めてるな。そんなに俺にられたいか」


そういうとファーミットは、ずかずかとオトのもとにやってくる。


「まず、お前からだ。戦闘態勢に入れよ……。言っとくが、俺は負けねえぜ。……?そこに突っ立ってる男子は誰だ?」


オトが片足をすっと引いて構える。

その突っ立てる男子――ダルサは、「忘れてんじゃねえよ!」とわめいていた。ファーミットはまあいいかと無視する。


「へっ、私に挑むなんて、命知らずだね」


オトはニヤリと笑って言う。


「でも俺は神戦闘能力検定準2級だぜ?」


ファーミットもニヤリと笑って言う。

神戦闘能力検定とは。その名の通り神の戦闘能力をはかる検定である。5級以下は結構簡単だが、3級以上になるとかなり強い。

それで準2級というのだから、かなり強いのだろう。

ちなみに、カズは9級、イトは3級だ。


すると、ファーミットの姿が陽炎のようにゆらいだ。

ビシッ!ビシッ!

そんな音が響く。見ると、オトが倒れていた。

ファーミットが鞭をふるったのだ。


「っ……くうっ……」


オトは痛そうに顔をゆがめる。

ファーミットは鞭をひゅんひゅんとまわして、ちょっとずつオトに

あてて、じわじわと苦しめていく。


ファーミットが駆け出してオトに突進する。

直接攻撃するきだ。


「とどめだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る