ヒロインは恋愛脳
ネルシア
ヒロインは恋愛脳 ~1話~
待ちゆく人々が、とある女子高生3人組に見惚れてしまう。
それもそうだろう。
明らかにスポーツできそうな高身長に、ショートヘア。
体も引き締まっており、芸術と言っていいほどの肉体だ。
女性の目線を釘付けにする女性だ。
王子様とは対照的に背が低く、制服をゆるく着ており、腰あたりまで伸びている髪が歩くたびにふんわりと揺れる。
柔和な表情と、豊かな膨らみが、かわいらしいお姫様を演じるのに1役買っている。
男性の目線を釘付けにするだろう。
だが、知っている人は知っている。
彼女こそ、柔道においてその階級における歴代最強の選手なのだと。
身長も体型も特筆すべきではない。
誰にも見向きされないが、不細工というわけでもない。
この3人の出会いは母親同士が仲が良く、ご近所だったことに起因する。
3人とも名前に「愛」が入っていることもあって、そのまま今のような関係性へと発展している。
その関係性がいつまでも3人仲いい友達、というわけにはいかず、冷愛と優愛は白愛を手に入れようとお互いを敵視している。
だが、白愛は鈍感すぎて、それに気が付いていない。
それどころか、2ともあんなに仲いいんだから、はやくカップルになってくれないかなぁと思っている。
いわゆる恋愛脳で、王子様とお姫様という完ぺきな関係を早く完成させたくて仕方がないのだ。
そんな彼女たちの日常を覗いてみようではないか。
白愛を真ん中に両隣に王子様とお姫様が並んで歩く。
王子様は白愛を見下ろして、反対側のお姫様は白愛を見上げている。
まるで白愛しか視界に入っていないようだが、不思議と周りが見えているのか、別の通行人や、電柱などの障害物にはぶつからない。
そんな中、王子様が何かに気が付いたのか、白愛に話しかける。
「あれ?シャンプー変えたのかい?」
王子様らしく、低く甘い声で、話しかける。
「え!よく気が付いたね!!」
王子様が自慢な表情を浮かべるのを見て、お姫様も私と、声を荒げる。
「ゆあだって気づいてたもん!!」
ぎゅぅと白愛の腕をお姫様が自分のほうに引っ張る。
それを見てカチンときた王子様がすぐさま言い返す。
「気が付いたらすぐに言葉にしてしまうものでね。悔しかったら次は優愛から言うといいさ。」
ふふんと鼻を鳴らし、これ見よがしに勝ち誇った表情を浮かべる。
「いいもん!!ゆあだって白愛と同じシャンプーにするから教えて!!」
「抜け駆けかい?僕も同じシャンプーにするよ。」
王子さまは冷静に、お姫様は感情的に言い争う。
当の本人である白愛は、王子様とお姫様が同じシャンプーを使うかもしれないということに、胸を膨らませる。
「やっぱり、運命の人同士は使う物も一緒になるのね!」
と心の中で思いながら。
ヒロインは恋愛脳 ネルシア @rurine
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