4本目「虫の知らせ」

これは3年程(2025年現在)に体験した話になります。

私の妻の趣味がテニスなんですが、腕前は県代表になれるほどの腕前なんですが

毎年11月下旬ぐらいに県外での試合に県代表として参加していました。

なんでも3年連続で出場した選手は次の試合は出場資格がなく今年は運営側でお手伝いしておりました。

その最後の3年目の時です。

11月下旬頃、毎年のように妻は県外へ遠征試合へ行き、子供たちは祖父母の家へと泊りに行きたまたま一人になった日があったのですが

その日は深夜作業がなく、一度家でご飯を食べた子供たちが祖父母の家へと泊りに行き

久しぶりに一人の時間を満喫しようと、スーパーであらかじめ買っておいたお菓子や

お酒などをテレビの置いてある部屋に用意し、その日はそのまま寝ようと

寝室から布団を運び準備を万端にし、私は普段はできないささやかな贅沢を楽しみました。

普段は子供たちにテレビを占領されているので、久しぶりに観る大きな画面での映画やドラマは普段のスマホの画面で観るより断然に面白く感じていた。

そんな時間も長くは感じず、気づいたらすでに深夜0時を回っており、

私はお菓子の空や空き缶などを片付け、布団を敷き、静かな夜を堪能しようと思った。

普段ならできないテレビをつけたまま横になり、私は漫才番組を観ながら

ウトウトしだしたので、流石につけっぱなしで寝るのはよくないと思い、

テレビを消し、私は眠りについた。

どのくらいの時間が経ったか、季節も秋から冬へ移る時期なのになんだか寝苦しい。

寝る前までは寝苦しいどころか、むしろ肌寒く毛布が欲しいぐらいだったのに

目が覚めてしまうほどの寝苦しさ。

呼吸がちゃんとできない。なんだか怖い。どんどんどんどん息苦しくなる。

今は家に一人だし、このまま死んでしまったらどうしようという不安もあった。

すると私の足元、L字の窓があり窓側に足を向けて寝ていたんですが

その窓の方からボソボソと何か音がする。

私は酸欠なのか、意識が薄れていく中で何故か窓の方から聞こえる正体がなんのか

気になっていた。

そのボソボソとした音が段々と大きくなるのがわかる。

よく聞くと音は下から上へ徐々に上がってきているようにも聞こえる。

私はどんどん呼吸が浅くなり、視界も霞みだしてきた。

それでも私はその音に注力した。

そうすると、その音が何の音なのかわかってきた。

でも嫌だ。その音の正体をつい今しがたまで知りたかったのに、今は嫌だ。

私はその音の正体がなんとなくわかった時、ゾクッとした。

そのボソボソとした音、それ人間の声なんです。

誰かがボソボソ何かを呟きながら、上へ上がってくる。

それが凄く怖い。

だって、その窓の構造上つたって上へ上がることなんて無理なんだ。

その窓すべて「出窓」になってて人がつたって上るなんて不可能なんですよ。

しかも、私の住んでる階は「5階」なんですよ。

そこそこ高い階まで出窓をてたって上るなんてそもそも無理なんです。

しかし、そのボソボソと呟く何者かが段々と近づいてくる。

私はその時あることに気づいた。

私の足元の窓、開いてるんです。

寒い時期とはいえ、空気が籠るのが嫌で眠る時窓を少し開けて眠ってたんですね。

窓を閉めたくても、体が動かない。

息も苦しく、とても立ち上がれるような状況ではなかった。

しかし、このままではその上ってくる何者かは確実に部屋の中へ入ってきてしまう。

そのボソボソという呟きがどんどん近づいてきている。

もう、すぐそこまで来てる。

すると、出窓の下の雨どいのところからにゅっと出てきた。

それはしわくちゃな老人の手に見えた。

その手がも一本見え、よじ登るような形で腕が上がり、肘が見えた。

私は恐怖のあまりそれをただただ見ていることしかできなかった。

頭が見えたと思った次の瞬間、窓にバンッと知らない老婆が張り付いていた。

その老婆が何かボソボソと呟きながら、窓を開けて入ってこようとした時だった。

私は、がばっと布団から起き上がった。

息が荒く、汗をびっしょりかいていた。

私はハッとして窓を見ると、そこには何もなく窓も閉まっていた。

今まで見ていたのは夢だったと気づく。

私は安堵し、布団のカバーを外し洗濯機へ投げ入れ、布団を夜中だがベランダへと持っていき布団を干し、シャワーを浴びた。

シャワーを終えて妻の布団で寝ることにした。

寝ようとすると、あの老婆の顔を思い出してしまう。

いやにリアルだったので、なかなか忘れらずにいたが次の日も仕事だったので

考えるのやめて寝ることにした。

朝になり、昨夜の夢が強烈だったのか完全に疲れた状態で起きた。

仕事へ行く身支度をし、階段を降りて一階に着くと

降りてすぐ左側の部屋、仮にKさんとします。

Kさんの家の前に「忌中札」が張られていた。

私は反対側に住む、Aさんが自室の前で作業をしていたので

事情を聞くと、老衰して寝たきりだったKさんが昨夜亡くなり、息子さんが看取ったそうで。

Kさんは亡くなる2カ月前に越してきて、息子さんがKさんの代わりに定期清掃などに参加していたが、Kさん本人は私は見たことがなかった。

ちなみに息子さんとも少し話す機会があり、話を聞くと。

自宅で息を引き取られたそうで、深夜にお亡くなりになられたそうで。

亡くなった部屋に祭壇を作っていたのだが、遺影が一瞬見えたのだが

その遺影に移っていたのが、昨夜ボソボソと呟き5階まで登ってきた老婆に

とても酷似していて更に話を聞くと、Kさんが亡くなった位置と私がその日寝ていた

位置が一緒だったことに、もしかしたらあれは夢ではなく、Kさんが最後の挨拶に

各階の人たちに会いにきていたのかなと考えてしまっていた。







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