友情が芽吹く時

影山 みはつ

第1story 君の瞳  

私は、真梨。


瞳をキラキラさせて、木の下で車椅子に乗って来た。


此処は、聖松病院。


えんぢ色のナースキャップを被った看護師が色々と見回りしながら廊下を走って行く。


理衣が「真梨。最近何を見て居るの?」と真梨の目の前に手を振って居た。


聖松病院の桜は、綺麗でいつも病気気な真梨は、たまに家に帰ると目の周りに三角形を手で描き桜の木を覗いていた。


理衣が「そんなに見たって何も無いわよ。もう少ししないと桜は咲かないでしょう?」と真梨の近くに寄って来て腰に手をやった。


車椅子で移動する真梨は、同じように車椅子に乗っている女の子を見掛けた。


真梨が「あの。あなたのお名前は?」と訊ねると、女の子が「私?私は、桜井 真百合だよ。此処からなら1人で静かに桜の木が見えると思ったから」と真梨の返事に答えた。


真梨は「そうなんだ。何だか車椅子が一緒だね?」と目をキラキラさせて話し掛けた。


真百合が「私は、車椅子が嫌い。こんな物の為に足を悪くしたわけじゃ無いのに」と話をして無理に歩こうとしたが、体勢がすぐに崩れて車椅子に乗り直した。


真梨が「危ないよ。もう少し病院の先生の指示に従って歩かないと危ない」と真百合に返事をした。


真百合が「そう言うのを、お節介と言うのよ。辞めて欲しいわ」と先を急ぐようにして真顔で車椅子に乗って家に帰って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る