第25話

出来るだけゲーム内で過ごした後、アラタはゲームからログアウトした。

「1日って思ったより長いな。でも、後少しすれば修理も終わるし次に何をするか考えないと・・・」

アラタは夕食の用意を済ませて星屑の勇者達の公式ホームページを立ち上げる。

バーナーにプレイ動画へのリンクが張ってあったのでクリックしてみる。

内容としてはゲーム内で見せてもらった物と同じだったがこうして公式ホームページに載っているのを見ると契約が本物だったのだと実感する。

「1000万はでかいよな。生活費としては十分だし何に使おう」

アラタはそんなことを考える。

最近はゲームばかりしていたし外に遊びに行くのも悪くないだろう。

少しばかり贅沢して外食なんてのも悪くない。

今思えば、外食なんて両親が生きていた頃に行ったぐらいで自分独りになってからは行ったことがなかった。

アラタは通帳の残高を確認する。

残りの額を確認してアラタは決めた。

「明日1日は遊びに行くか」

遊びに行くと決めたアラタは夕食を食べ終えると明日に備えて寝ることにした。




「ふぁ・・・。ねむ・・・」

時刻を確認すれば10時過ぎ。

社会人としては遅い寝起きだが怒る相手もいないのだ。

朝食を済ませ出かける支度を終えたアラタは最寄りのバス停まで歩いて向かう。

しばらく待つとバスが来てそれに乗り込み駅を目指す。

駅に着いてまず向かったのは銀行だった。

遊ぶにしても先立つ物が必要だったからだ。

ATMで記帳してみると1000万の振り込みがされていた。

どうやら昨日、あの後すぐに振り込んでくれたのだろう。

取りあえず50万ほど引き出して銀行を後にする。

こんな大金を持ち歩いた経験がないので緊張してしまう。

何となく誰かに見られているような気がして周囲をきょろきょろと見回してしまう。

完全に不審者の挙動だがアラタに気にしている余裕はなかった。

そこにたまたま通りかかった警察官と目線があう。

アラタはとっさに目線を反らしてしまったがそれがよくなかったのだろう。

警察官に話しかけられてしまう。

「お兄さん。ちょっといいかな?」

「なんでしょうか?」

アラタは普通に答えたつもりだったが声がちょっと裏返っていたかもしれない。

「そんなきょろきょろしてどうした?」

「いえ。なんでもないですよ・・・」

アラタはそう答えるが警察官の追求は止まらなかった。

「何か危ない物でも持ってる?」

「そんな物持ってないですよ」

「じゃぁ。協力してくれるよね?」

どうやら生涯初の職質を受けることになりそうだ。

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