第20話

マーダスの率いる輸送艦と合流したアラタは艦隊を揃えて移動を開始した。

前方に10隻、左右に5隻、後方に10隻を配備し自身の操るステラはマーダスの艦と並走させる。

「いやぁ。これだけの船に守られるなんてはじめての経験です」

マーダスはそう言って感謝を伝えてくる。

「普段はどんな感じなんですか?」

「そうですねぇ。普通は1隻。多くても3隻ぐらいでしょうか」

「それはまた・・・。それで無事に目的地に着けるんですか?」

「正直、襲われることも多いですよ。その時は積み荷の半分は諦めなくてはいけません」

「大損じゃないですか」

「えぇ。ですから、依頼料も中々工面するのが大変でして」

襲われて積み荷を諦めればそれだけ利益は減る。

交易というのも中々大変なようだ。

「今回はしっかり守りますので」

「はい。よろしくお願いします」

レーダーには宇宙海賊のような影が映ったりしているがこちらの規模を見て離れていく。

結局、農業ステーションのフヨウに着くまで襲われることはなかった。

「今回は助かりました。この後、ご予定はありますか?」

「いえ。特にはありませんけど」

「それでしたら引き続き護衛を引き受けてはいただけませんか?」

「行き先はどこになりますか?」

「工業プラントのミトラです」

「まだ、行ったことのない場所ですね。わかりました。引き受けます」

「ありがとうございます。積み荷が用意できましたら連絡しますので」

そう言ってマーダスはフヨウのドックに入っていった。

1時間ほど待っているとマーダスから連絡が入る。

「お待たせしました」

「いえいえ。準備は完了ですか?」

「はい。申し訳ないのですが護衛対象が少し増えてしまったのですが構いませんか?」

「増えたとは?」

「優秀な護衛を雇えたと知り合いの商人に自慢したら自分達も護衛してほしいと言われまして・・・」

「その分の依頼料をいただければこちらは大丈夫です」

「もちろんです。今、データを送ります」

アラタは送られてきたデータを確認する。

新たに加わるのは輸送艦が4隻だ。

その分の追加の依頼料も確認する。

1隻あたりの加算量はそこまで高くないがマーダスだけを護衛するよりも依頼料が増える分には大歓迎だ。

「確認しました。これなら問題ないでしょう」

「それではよろしくお願いします」

アラタは待ち合わせの宙域で護衛対象であるマーダス達が合流してくるのを待つことにした。

無事に合流できたことを確認して艦隊を組み工業プラントミトラに向け進路をとった。

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