第19話

アトランタ商会の輸送船と合流して交易ステーションのミズチを目指す。

戦力は十分な為、襲われる可能性は低く移動するだけの簡単なお仕事だ。

利益としては宇宙海賊を狩っていた方が効率はいいが特典が貰えるとのことなのでしばらくは積極的に護衛依頼を引き受けるつもりでいる。

「平和だねぇ」

ナナがそんなことを言ってくる。

「レーダーにはちらちらと宇宙海賊のような影が見えるけど襲ってくる様子はないな」

「そうだねぇ。高速巡洋艦が30隻もいたら並みの宇宙海賊じゃ勝負にならないからね」

「過剰戦力ってところか・・・」

「まぁ、今後のことを考えれば数を揃えてるのは悪いことじゃないよ」

「と、言うと?」

「美味しい依頼になればなるほど向こうも数を揃えてくるからね。そうしたらどんだけ戦力がいても襲われるから」

「なるほどねぇ。まぁ、こっちは楽でいいけどな」

襲ってくるというなら相手にするだけだ。

戦利品に加えて懸賞金も手に入ればかなりの儲けになる。

「まぁ、今は無事に依頼を完了することだけ考えよう」

「そうだな・・・」

結局、その後も襲われることなく交易ステーションのミズチに到着した。

「今回はありがとうございました」

依頼主であるベックがそう言ってお礼を言ってくる。

「いえいえ。また機会があればお願いします」

アラタはそう言って通信を切る。

「さてと・・・。次の依頼を探すかな」

交易ステーションとつくだけかなりの量の護衛依頼が出ていた。

依頼料もかなり高めの奴も混ざっている。

「どれを受けようかな?」

「う~ん。依頼料が高いのはそれだけ危険ってことだからね。しばらくは安いのを数をこなすのがいいんじゃないかな?」

「そういう考えもあるか」

アラタはしばらく考えた結果、安全を取ることにした。

それに、行ける宙域が広がったのにまだ行ったことのない宙域がかなりある。

しばらくは行ったことのない宙域のデータを集めるというのも悪くないだろう。

「よし。次の行き先は農業ステーションのフヨウにしよう」

「依頼料は低いけど悪くないね」

アラタは早速、依頼主とコンタクトを取る。

「こちらサウザンド商会のマーダスです。ご用件をどうぞ」

「護衛依頼の件で連絡したのですが」

「本当ですか?助かります。中々受けてくださる方がいなくて」

依頼料はかなり安いため冗談でもなさそうだった。

「では、合流してフヨウに向かいましょう」

「はい。それでは道中よろしくお願いします」

アラタは指定された宙域に向かいマーダスの率いる輸送船と合流し移動を開始した。

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