第6話 それぞれの日常風景

 〜藤澤彰人side〜


 おはこんばんにちは、藤澤彰人です。

今日は偶然にも天宮さんと聖嶺學園に付属する食堂で一緒になったので、同じ席で食事を摂る事になったのだが…


「あれ?彰人じゃん。奇遇だねー!」

「颯吾…」


 其処には俺の幼馴染で、陽キャ属性盛り盛りの葉山颯吾が居た。

 但し、天宮さんと颯吾は初対面なので、軽く自己紹介し合った。


「あ、初めましての人も居たよね?僕は葉山颯吾。彰人とは幼馴染をやらせて貰ってるよ。宜しくね」

「えっと、天宮いよりです…///」


 おや?天宮さんの様子がおかしいけど…

まあ、コイツは顔立ちが整ってるから仕方無いが…気になる人がそっちに興味行くのは複雑だな…。


 それから3人で互いに同じ地元って事で、地元トークで盛り上がったり、珍しく天宮さんが颯吾に質問を積極的にしたり…

 うーん、もしかして天宮さん、颯吾に一目惚れしちゃった?

それなら色々マズイと言うか…如何にか出来ないものか…あ。


 ――思い付いたは思い付いたが…少し恥ずかしいが言うしか…


「え、えっと…天宮しゃん!」

「え?は、はい」


 噛んだ。恥ずかしいけど…

 ――今はただ言うしかねぇ…!


「良ければ今度、一緒に遊びに行きませんか!」


 は、恥ずかしい…けど言ったぞ!言ったぞ俺!

と、内心でかなり緊張しながら相手の返答を待つこと暫し。


 天宮さんは少し照れ臭そうにしながらも、少し申し訳なさそうに言った。


「えっと…お誘いは嬉しいんだけど…二人で行くとなると…」

「あ、あー…別に皆も誘う予定なんだけどなぁ〜」

「えっと…それなら大丈夫だよ…えっと…何かごめんね?」

「い、いえ…」


 オーノォ…アウトオブ眼中じゃねぇか!?

そんなに颯吾の方が良いのか!?やっぱり陽キャなのか!?


「おや?遊びに行くのか〜俺も行きたいけど別の予定が入っているから楽しんで来てね!」


 と、呑気に言う颯吾。

何も考えてねぇーだろうけど今ばっかりは気になる人がそっちに意識が向かっていて殺意が湧きそう()


 てな訳で、他のメンバーにも予定を聞く必要が出来ました。

 内心、これから本格的に行動する事を決意した藤澤彰人でした。




※ ※ ※ ※ ※




〜東雲朔夜side〜


 どーも、東雲朔夜です。

現在、俺は図書室で様々な本を読みつつ、持参したノートに小説を書き始めようとしていた所です。

 とは言っても幼稚な物語にしかならないので、困ったものです。


 ――うーん、どうにかならないものか。


 以前、遠坂樹からL◯NEのグループ機能で小説活動みたいなのをやろうぜと言われ、賛成したのは良いが内容が思い付かない。

 すると、其処へ――


「ん〜?何か見た事がある顔だな…」

「……は?」


 何と無く聞き覚えがある声だなと思いつつ、声のする方向へ振り返ると、遠坂樹の女友達であると言う望月眞希が立って居た。


「……あー、樹の女友達の」

「あー思い出した!確か東雲君だったけ?」


 そうです、俺が東雲さんです。

なーんて下らない事は内心に捨てといてと。


 そんな事をしている間にも望月眞希さんは俺の対面に座った。


「此処で何してるの?」

「……少し小説を書き始めようとした所です」

「小説?ふーん…読んでみても良い?」

「……別に良いっすけど…期待はしないで下さいよ」


 「分かった〜」なんて言うけど、自信は無いのだが…。

さてさて、一応他の人の反応が気になるんで聞いて見るか。


「……どうだ」

「うーん…普通と言えば普通かな。確かに面白いと言えば面白いのかも知れないけど、それなりって所なのと短いって所かな?」

「……結構言って来るな。まあ、確かにショートストーリー風味にしようとは思って居たから短いのは認めるが」


 まあ、事実なので仕方が無いが。

とは言え、長文で上手く書ける人の才能が羨ましい。


「けどまあ、こう言ったのもあってウチは良いと思うよ?書くのは自由なんだからさ」

「……そうっすか」

「まあ、それはそれとしてさぁ〜。東雲君って樹とどんな感じで出会ったの〜?」

「……うーん、至って普通なんだよなぁ」


 その後は望月眞希さんと樹の事で軽い雑談をし、時間が来ると…


「おーい、迎えに来たぞー」


 と、話していた人物が望月眞希を迎えに来たようだ。


「ん〜もうこんな時間か。じゃあ有難うね〜」

「……おう」


 望月眞希さんは樹と帰って行くと思って居たのだが…


「朔夜、お前も一緒に帰らないか?」


 樹に誘われたので、俺は首を縦に頷く。


「…お邪魔させて貰っても良いのなら」

「もっちろん良いに決まってるでしょ〜?」

「嗚呼、寧ろ良いの他に何かあるのか?」


 相変わらず人が良い樹達に、奥手な自分には救われるなと思いつつ帰る準備をして一緒に帰路を辿るのだった。




※ ※ ※ ※ ※




〜遠坂樹side〜


 どうも、いっ君さんです。

眞希と朔夜の3人で帰路を辿り、朔夜と別れたばかりの時だった。


「は?いよりっちがイケメンに…?」

「如何した。急に天宮さんの名前を呼んで」

「それが見てよ、これ」


 眞希に可愛らしいシールが貼られたスマホの画面を見せられた。

俺はこの画面に映るメッセージを読んだのだが…


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


AKITO

『天宮さんがイケメンに落とされそう』


                    マッキー

              『!?!?!?!?』


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 うーむ、イケメンとは良く分からないが、確かに天宮さん大好きな眞希にとっては一大事な事だろう。

 ヨシ、俺も出来る限りは協力して進ぜよう。


「確かにこれは一大事だな、俺も手伝おう」

「え?良いの?あんたは余りこーゆー事には興味無さそうだったのに珍しい…」

「うるせぇ…友達が困ってるのなら助けるのが俺のモットーだ」


 俺がそう言うと眞希は信じられないような表情をしていたが、じーと俺の目を見て信じたのか、


「……分かった。手伝ってくれるのなら有り難い」

「ヨシ、それじゃグループに俺を招待してくれ」


 こうして、天宮さんを取り巻く物語が始まろうとしていた。




※ ※ ※ ※ ※




〜天宮いよりside〜


 こんにちは、天宮いよりです♪

今日は藤澤君の紹介で一度お話ししたかったイケメンの葉山君と直接お話が出来たし、その後に藤澤君に何かお誘いを受けたけど…

 デートか何かなのかな!?恥ずかしくて2人きりは避けてしまったのは申し訳無かったから、皆でって事にしたけど…


 ――うーん、何だっんだろう。


 難しく考え過ぎても良く無いし、その時になれば分かるかな?

取り敢えず今は趣味の恋愛漫画を読んでいたんだけど…これが凄くキュンキュン来ちゃってベッドの上で悶絶しちゃうんだよね!!


『俺以外の男に行くなよ。俺のお嬢様なんだから』


 ――きゃあああああああ!?カッコいいよぉぉぉ///


 足をバタバタさせ、何度も見返しては悶絶の繰り返し。

やっぱり『王子様とお嬢様シリーズ』は何回見てもすっごいや…

 なーんて内心、考えていると妹が私の部屋に来て…


「お姉ちゃん、さっきからうるさいんだけど!?」

「えっ!?ごめんっ!!恋愛漫画を見てて…」

「もうっ!!またそれで?」

「あはは…」


 こんな時、妹と立場が逆転しちゃうんだけど…可愛い妹の天宮いさなちゃんは怒っていても可愛いから怖く無いんだよねぇ…


「大体お姉ちゃんはさぁ〜」

「ごめんって…反省してるからさ」

「はぁ…なら私に構ってくれたら許しちゃいます」

「かっわいいぃぃぃ!!」

「きゃっ!?」


 私は可愛い妹に抱き着き、頬擦りしながら頭を撫でる。


 ――あゝ最高過ぎて昇天しちゃいそうぉぉぉぉ…



〜閑話休題〜



 暫く妹エネルギーをチャージして元気になった私は宿題をしていると、眞希ちゃんからメッセージが送られているのに気付いた。

 えっと…


 ――変な男に捕まってない?大丈夫?

 ――今度、遊びに行くって聞いたわよ。私も入ってて良いの?


 なんて言う内容だったので、一瞬なんの事かなと思ったけど…

あー「藤澤君との約束」だったのを思い出し、その旨を伝えた。

然し眞希ちゃんから電話がしたいって言うので電話してみた。


……………。

取り敢えず変な男の件は葉山君の事だったので、イケメンと話して見たかったって事を伝え、遊びの件は友達の皆で行く事を伝えたよ。


「もう皆して私の事を心配し過ぎだって〜」

『でもウチとしては心配にもなるって…何処の馬の骨かも分からない男にホイホイ行きそうでウチは心配だよ』

「あんたは保護者か何かか!って思っちゃうんだけど…」


 葉山君の事は好きかどうかって言われると…うーん。

 イケメンでカッコいいとは思うけど、恋愛関係になりたいかと言われると何か違うかも…。


 まあ、それとは別に藤澤君が本気で遊びの約束を準備してくれているみたいだし…

私も当日までに色々準備しちゃおうかな〜なぁーんてね♪

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