第19話 木瓜がボケ倒す作戦?終いには褒めたり貶したり…なんでもありですよ?

 ……?外がうるさいな。なんだ?何をしてるんだ?窓も締めてるはずなんだけどな?何か…聞こえるぞ?

「ねぇねぇ?皆は何が怖い?」

「私は怖いと思う物は"邪"でしょうか?」

「そうですね~?怖いと思う物…強いて言えば臭さですね~!」

 ミカエル…それ最近あったやつだろ?それに…神様に何を聞いてるんだ。もっと違う物を聞けば良かっただろうに。

「神様なのに蛇が怖いんだ?!」

「大蛇でしょうか?それとも王者でしょうか?」

「どちらも臭そうですね~?」

 どこが?!どこが臭いんだよ?!自分の意見に寄せようとし過ぎだろ?!別に臭くなさそうでしょうが!!蛇に失礼でしょうが!!本当に何をしてるんだ?!

「所で水の神様って何をするの?水を腐らない様にするの?」

 いや、局所的過ぎるだろ?!なんで腐らない様にするためだけに神様が居るんだよ?!おかしいだろ?!

「そうですね、腐らない様に居るのです。」

「そうなんですか~?もっと色々理由があるんじゃないですか~?」

「どっちかというとですね?厠の神ですね」

 いや?!そうなの?!厠の神様がアトランティスに封印されてたの?!あそこ…トイレだったの?!

「私の出自がイザナミ様のおしっこから来ているとされていますので」

 まじか…。知りたくなかった情報まで丁寧に教えてくれる…。神様のおしっこって神様なんだ。てことは…便も神様…。考えるのはやめようか。

「うんちも神様なのかな?うんち神様だね!」

「うんち神様です、私もおしっこ神様ですね。」

 それじゃダメだろ?!せっかくちゃんと名前があるんだから!!その名前が一番いいだろうが!!あぁ…なんでこんな所で…。ハニヤスヒメ様とあなた様は農耕や井戸水の神様でしょうが!!そっちの伝記の方の情報は出さなくていい!!

「素晴らしいです~!やはり神様から生まれたら神様なのですね~!」

「ええ、そうでしょう?私は誇りに思っていますよ?」

 そっか…。生まれた事を誇りに思えるのか。そりゃそうだよな、神様に生まれているのだから。お祀りされているのだから。勝手に我々が"汚い"として認識づけているだけなのだから。

「だから勇者の使命を誇りに思っても良いのではないでしょうか?」

「そうですね~!」

「平突だから出来た事だよね!」

 な、なんで急に褒めだしたんだ?!何…?怖いし恥ずかしいんだけど…。嫌だよ、それ。

「でも繊細さんだからね…。」

「繊細なのは昔からなんですね~?」

「ちゃんと神様に対しても敬意がありますし。守ってあげたいと思えますね?」

 な、なんだよ…。罔象女神 (みつはのめのかみ)は俺の事を殺そうとしてたじゃないか。水分がなくなる感覚がもう…味わいたくない。絶望的な渇きに支配される感覚は…味わいたくない。

「面白いツッコみを期待していたのに…何か別の恐怖を与えてしまったのです。」

「あの試練はツッコみを期待していたんですか~?」

「ええ、そうですよ?質問の初めは…貴方は神を信じますか?ですからね?」

「なんて答えたんですか?」

「彼は"信じます"と答えたんです。いい子ですよ?」

「神様にツッコみを入れられない弱点でもありますね~?」

 もう…ボケること無くなったのか?!なんで急に褒めたり…けなしたりするんだ?!なんだか…居てもたっても居られなくなるじゃないか!!

「私は新興宗教の勧誘か?とツッコみを入れて欲しかったんです。」

「それは面白そう!神様から直接ボケてもらう事なんて人生でないから!」

「そうですよ~?神様が望んでいるのだからそれでいいのです~!」

「分かった…分かったから!!もういいから!!」

「あ、やっと出てきましたよ~?」

「平突!!やっと出てきてくれたんだね?!」

「ツッコみが居ないと成り立たないのです。早く、ツッコみを入れていただけますか?」

「そうかな?!普通に成立するとは思うんだけどね?!」

「貴方は…神を信じますか?」

「新興宗教の勧誘か?!ってこのフレーズもういらないでしょう?!」

「ええ、要らないかもしれないですけど、貴方にとっては大事でしょう?」

「どこがですか?!どこに必要なんですか?!」

「神様に対してツッコんでもいい、という自信に。」

 うん、そんな自信は欲しくない!!こんなに八百万の神様が居ると言われていた日本に育ったのに、神様にツッコみ入れるとか…。出来るかな?!俺に?!

「出来ていますし、ここでは重要な事なのです。それに…ふふ…今ジワってます。」

「神様がそんな現代の言葉を…?!ジワってます?!」

「ふふふ!それで良いのです。」

「平突…これからは二人三脚で進もうね!」

「ん?忘れてる人が居るだろ?」

「いえ~?私の足も入るので!」

「いや、三人三脚だからそれ!二人だから!」

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