第13話 「戦友と見た青い空」
第13話『戦友(とも)と見た青い空』
焚き火のパチパチという音だけが静かに響いていた。
その沈黙を破ったのは剣だ。
「……お前の炎、エグかったわ。“バゴンッ”て感じやったで。」
それに譲介も返す。
「剣さんの毒も相当ですよ。“シュバババ!”って……」
「“ドガガガ!”って感じや。“バコンッ”“ズドドド!”やな!」
「なんですかそれw」
「www」
焚き火を挟んで笑い合うけど、なんだろう。
妙にぎこちない。
譲介も、剣も、問馬も、慧悟も――
みんな、心のどこかに引っかかってる。
……あの戦いのことが。
「薪、くべろ。火、弱まってきたぞ。」
慧悟がそういうと問馬がニット笑い。
「まっかせろぉ〜!一番デカい薪をぶちこむぜぇ〜!」
と返す。
「いやそれ家燃えるサイズやろ!やめんかい!」
「……はぁ、相変わらずうるせぇ奴らだ。」
剣のツッコミと慧悟の呆れ。
――でも、悪くない空気だった。
そこへ、田蔵がニコニコしながらやってくる。
「みんな、よく食え。今日は焼肉じゃ。うまいぞい。」
それを聞いた問馬はガッツポーズしながら
「焼肉!最高だぁ〜ぜぇ〜!ところでコーラは!?」
といつものコーラねだり。
「ありますよ!」
「やったぜぇ〜!!!!!」
百合香がコーラをいれると問馬はとても喜んだ。
肉が焼ける音が、静かだった空間をじわじわと温めていく。
譲介達は無言で肉を頬張った。
けど、どこかホッとするような温かさを感じた。
その時だった。
「明日、夏祭りでも行くかのう。たまにはこういう息抜きも大事じゃろ。」
田蔵からの提案があった。
「腹祭り!?コーラ飲み放題の祭りか!?」
「『夏祭り』だ!お前の耳、相変わらずバグってんな!」
「wwwwww」
譲介は静かに呟く。
「……チームワークって、いいですね。」
「じゃろ?」
そして、次の日。
譲介達は、夏祭りへと向かった――。
「おぉ〜!人間がいっぱいだぜぇぇ〜!!!テンション上がるな!」
問馬は騒ぎ、走り出す。
「あっ!」
「ちょ、勝手にどっかいくな!」
開始早々問馬が勝手にどっかいっちまった
「剣!問馬を捕まえろ!」
慧悟がそういうが、剣はナンパをしていた。
「そこのねぇちゃん可愛いでぇ!このあとどうや!」
「えっ、いやその…」
慧悟が剣の手を引っ張る
「何やってんだ!すみません!」
「あ〜れ〜!」
なんとか慧悟が剣を捕まえる。
その時、問馬は射的屋にいた。
「おぉ!あのプラモデルかっけー!」
「おぉ〜!兄さん!撃ってかい!?」
射的屋の誘いに問馬は激しく頷くがそこに譲介が現れ、問馬の手を引っ張る。
「ちょっと問馬さん勝手にどっかいかないでください!」
「あ〜れ〜!」
こっちもなんとか捕まえた。
「ったくお前らは…」
「ごめんだぁ〜ぜぇ〜!」
「めんご〜!」
二人は平謝りをかます。
「反省してないだろ」
「してないな」
「してないぜ!」
「正直でよろしいぞい」
ったく開幕から本当に手が焼ける人達だ。
「さっ、気を取り直して夏祭り楽しみましょうか」
「射的いきたいぜぇ〜!さっき譲介の邪魔が入ってできてないぜぇ〜!」
「いやおれは問馬さんが飛び出したからでしょ!」
「そうだったぁ〜ぜぇ〜w」
問馬の発言に剣は笑う。
「ホンマアホやなぁ〜」
「お前も勝手にどっかいったろうが!」
とりあえず特に行きたいところないので、射的に行くことに…
「おっしゃ!1等だぁ〜ぜぇ〜!」
問馬は銃を放ち、1等を撃ち抜く。
「お前、鉄バットじゃなくて銃使ったほうがええやろ。」
「わしも一等当たったぞい!」
田蔵も1等を当てる。
「中々当たりませんねぇ〜」
「ムゥ…」
譲介と慧悟は中々当たらない。
「一等はニンテンドースイッチです!」
「ラッキーだぁ〜ぜぇ〜!」
「こういうこともあるんじゃのう」
二人はニンテンドースイッチを手に入れた。
次は金魚すくいへ行くことにした。
「なんだコレ!めっちゃやぶれるぜ!」
「難しいな…」
譲介達は中々とれず苦戦していた。
「お前ら下手くそやのう。ワイがやったるわ!」
ここで剣がイキる。
「そんな偉そうに言うならできるんだろうな。」
慧悟のその言葉を無視し、剣は一気に水面へすくいをいれる。
「行くで。金魚すくいってのは!こうや!」
が、普通に金魚をおとしてしまった。
問馬と田蔵は大爆笑する。
「だ、ダサいぜぇwww!」
「じゃぞいじゃぞいwww」
「うぅ…!後ろの可愛いねぇちゃん達にも見られてるよぉ!カッコつけたかったのに…!」
「イキるからそうなるんだ。」
田蔵の提案が入る。
「次は……お化け屋敷でもどうじゃ?」
「おばけ屋敷!?コーラの屋敷か!?」
またもや問馬のアホ発言。
「違うわボケ!」
「おもろそうやんけ!いったろ!」
そうしておばけ屋敷に入る。
「暗いですね…」
「おばけ屋敷だからな。」
そのとき骸骨が動く。
「ぎゃー!」
「なんだこれぇ〜!骸骨が動いたぁ〜!コーラじゃねぇのかぁ〜?」
「ギャーッ!ワイの目ぇがぁぁ!」
「なんで剣さんが一番ビビってるんですか!」
「うるせぇから怖さゼロだ…」
「うるさいおばけ屋敷も悪くないのう」
そしておばけ屋敷をでた。
「そろそろ花火があるので、今のうちにかき氷かっておきましょうか」
慧悟の提案に田蔵は頷く。
「そうじゃな。いっておくか。」
そうしてかき氷を買いに行く。
「せっかくだからせーので言おうぜぇ〜!」
「なんだそりゃ?」
問馬の提案に慧悟は疑問を抱く。
「楽しそうでええやないか!」
剣がそういうとみんなが一斉に言うことになる。
「せーのっ!ブルーハワイ!」
「被りましたねw」
見事な被りにみんなか笑う。
「まあもともと俺と百合香は被る予定だったがな!」
「なんやリア充が!」
「シンクロだぜ!テンション上がるな!」
店員がかき氷を持ってくる。
「はいよ!」
「かき氷食べながら花火見るか。」
「よし行くぞ!」
花火会場へ向かうと人がたくさんいた。
「混んでますね…」
「満員電車やんけ。」
「かき氷食べるぞい。」
全員がかき氷を頬張ると冷たさと同時に頭に「キーン」と衝撃が走る。
「頭キーンやで!」
「脳みそ氷点下だぁ〜ぜぇ〜!」
その時、青色の花火が上がった。
迷いも不安も抱えたままの青い心、でも少し前に進めるような…そんな色だった
百合香が頬を赤らめながら慧悟に言う。
「私が告白した時も、花火が上がってましたね」
「そうだな」
剣は羨ましそうに言う。
「リア充や!」
問馬は首をかしげる。
「リア充ってなんだ!?充電するのか!?」
「剣さん、せっかくいい空気だったのに!」
「フフ。いいんですよ。」
「ようやく”戦友(とも)"という顔になったな。」
田蔵のその言葉を聞いたみんなは微笑んでいた。
帰り道、剣がこういった。
「やっと仲直りやな!」
「応!」
「もう争うのはなしや。俺達だけ俺達を味方してやるように。みんなで頑張ろや。」
「応!」
こうして俺達は仲直りができた。みんなありがとう。
しかし俺達に悲劇が起きた。
「な、なんなんだお前は…」
「俺は君達を処刑しにきた。」
その敵の強さはまるで災害だったのだ…
次回 「氷雷ノ禍」
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