第よん話 サドルの高さ
「ねぇ、ポジション出しって、何?」
「自転車に
「より効率よくパワーを伝えて、
より疲れにくい姿勢を追求するんだよ。」
【あー、やっぱり
「
「え、そうなの。」
【
あ、あたしのママチャリ、5センチほど高くなった、。】
「
「ぅ、、、痛いよ。」
【ちょっと、恥ずかしいところが痛いよ。】
「地面に足がつま先立ちでギリギリだから、
サドルが股間に食い込んで痛いよね。」
「ぅぅぅう。」
「ごめん。乗り方教えなきゃ、だね。」
【もう!恥ずいからなんとかして!】
「一度降りてみて。イチからやり直すよ。」
「まず、自転車の左側に立って、
ブレーキを握って、自転車が動かないように。」
「自転車を自分の方に斜めに傾けて、サドルを低くすると
右足を振り上げて、自転車の後方から、サドルの上を通過させて前方へ、
サドルの前方の空間に、お尻を下ろすようにして自転車を跨ぐよ。」
「こう、ね。」
「そう、そのまま自転車を真っ直ぐに起こすと、
両足がベタリと地面に着くから、信号待ちとかは、この姿勢だよ。」
「まだサドルにはお尻、載せないで。」
「股間も痛いはずがないよね。」
「う、、ん。」
「じゃあ、スタートの準備。
左足は地面に着けたままで、
右足のペダルを、その辺り、1時か2時に持ってきて。」
「1時か2時っていうのはね、自転車を右横方向から見て、
ペダルの回転をアナログ時計に見立てるんだ、わかる?」
「わかる!短い針の1時か2時ってことね。」
「そう、その位置で右足を載せて。
ブレーキもしっかり握ってね。前進しないように。」
莉奈
「うん。」
「さあ、スタートは、
右足をそのまま踏み込んで、全体重をかける位のつもりで。」
「グイっと踏み込んだら、同時にブレーキを離して、
動き出してからお尻をサドルに載せる。」
「最後に左足もペダルに載せるよ。」
「両足が収まったら本格スタートだよ。」
莉奈
「うぅぅ、、」
【なんか、めんどくさいよ。】
「じゃあ、やってみよう。右足載せて、そうそう。」
「ハイ、スタート!」
莉
「ぅん。」
「どうぞ!」
「ぅぅぅぅ。」
「スタートできない?怖いの?」
「うん、いつもと違うから。ちょっとだけ。」
「
かえってフラフラして危ないから。」
「じゃあ、スタートの時だけ、俺が自転車を支えるよ。」
【
自転車の
「自転車練習中の保育園児みたいだ。」
「うるさい、
【
「じゃあ、覚悟はいいかい?」
「大袈裟だなぁ。」
【と、言いつつ、みんなが注目するから、かえって緊張するよぉ。】
「じゃあ、右足一本で立ち上がるぐらいの気持ちで、
一気に踏み込んで加速してね。」
「自転車って、スピードが遅いほど不安定だからね。」
「いくよ。」
「うん!」
「いっせぇのぉ、せ!!」
【もう、一気に踏み込んだよ、あたし。】
【いつも以上に勢いよく加速した。
一瞬、お尻が浮いて、立ち漕ぎみたいになったが、
無意識に左足もペダルを漕ぎ始めると、
走りは安定してきたよ。】
一同
「やったぁ!」
「やっほーー!!」
「いいよー。」
【なんだか、いつもよりペダルが軽い。
足に力が入って、楽に加速できる。】
「すごい、速いよ、
「ペダルが一番下にいった時に、
少しだけ曲がった、余裕のある状態なの、わかる?」
「わかる!」
「自転車に力を伝えるのに、
一番効率がいい所は、ペダルが3時の位置の時なんだけど、
そのサドルの高さだからこそ、
一番力が入れやすい
「わかる!力がしっかり入るよ。」
【なんだか、嬉しくて、公園の敷地いっぱい使って大廻り、楽しい!】
「バレーボールの選手がネット
少し
あの時、深く曲げすぎても、浅すぎても高くは飛べない。
一番高く飛びやすい最適な
それと同じ発想。」
【
「サドルの高さは、股下の長さに係数0.87を掛ける、って言ってるよ!」
【
「それって、結構誤差があるんだよ。
目安の数字ではあるけれど。」
「特に初心者は、低めにしておかないと、乗り降りがうまくできないし。」
「あっ!!」
「降り方教えるの忘れた!」
【
「ねぇ、それで、止まる時はどうしたらいいの?」
【そろそろ降りたくなってきた。】
「じゃあ、ゆっくりと、速度を落として。」
【
「このままだと地面に足が届かないから、
止まる瞬間、今回だけは俺に体を預けて。」
「えーーー!!」
「支えるから。」
「えーーーーーーーーー!!!」
「いいぞ、ゆっくりぃ。」
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
【怖いよーーーーー!】
【ブレーキを握りしめた。体が傾く。
左肩が
もう歩くほどのスピード。
体が大きく傾いて、あたしの体は、完全に横倒しになって止まった。
つまり、
「ごめんな!止まり方、先に教えるべきだった。」
【あたしのお腹に回されていた
お尻を地面に下ろすと、
先に立ち上がった
「掴まって。」
【なんだか恥ずかしくて、手は伸ばさず、自力で立ち上がった。
心臓がドキドキいっている。】
【
ちょっとだけ不機嫌そうに腕を引っ込めた後、
両手を合わせている。】
「本当にごめん。悪かった。」
「怪我はないか?」
一同
「大丈夫!?」
「怪我してない!?」
「あ、あたしは大丈夫。」
「それより、重かったでしょ、ゴメンなさい。」
「全然、それは平気。」
「ちょっと、
【
「これぐらい、平気だよ。」
「ダメだよ
「あいよ。」
【傷を洗い終わった
ハンカチで水分を拭き取ると、絆創膏を貼っている。】
【絆創膏なんて持ち歩いているんだ。
女子力、なのね。
ちょっと悔しい。】
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