第じゅういち話 からあげとにんじん

(自転車の走行音)シャァーーーー、シャッ、シャッ、シャァーーーー


武佐士むさし

「住宅地を抜けるこの道はぁ!」

「自動車がスピードを出しすぎないようにぃ!」

「シケインが作ってあるからぁ!」

「自転車には快適、この上ないね!」


莉奈りな

武佐士むさしくんは、

大声で、みんなに聞こえるように話しながら走る。】


武佐士むさし

「あーぁーあれあれ!」


莉奈りな

【今度は、何か見つけたのか?

道路わきの一点を指さしながら走っている。】

「あ!」

【あたしも見つけたよ。】


武佐士むさし

「きっと、この道、中山道だ!」


莉奈りな

【うれしそうな武佐士むさしくん。

アカデミックになって来たよ。】

【そうか、さっきまで走っていた、

怖かった国道の旧道の、さらに旧道。

江戸時代から残されているような、石の道標みちしるべだね、あれは。】






莉奈りな

【街道から外れたところにある、コンビニで休憩することになった。

まだ10キロほどしか走っていないけど、お腹ぺこぺこ。】


(コンビニの入り口の音)ピロピローーーーン


武佐士むさし

「おにぎりとかサンドイッチとか、軽く食べておくといいよ。」


莉奈りな

武佐士むさしくん、言われなくても食べちゃうよ。】


【こんなにおいしい鮭おにぎりは、初めてだ!

どこにでもあるコンビニおにぎりなのに。】


武佐士むさし

雷人らいと、言い忘れたけど、揚げ物は控えめにね。」


莉奈りな

雷人らいとくんは、コンビニ定番の唐揚げを食べている。

しかも2セット。】


雷人らいと

武佐士むさし、俺の胃袋はチートかかっているんだよ。」


武佐士むさし

「なんだそれ、意味わかってるのか?」


雷人らいと

「、、、ん、ん、実はよく知らない。なんとなくかっこいいでしょ。」


武佐士むさし

「なんだ、それ!笑える。」


かすみ

「あんたたち、バカね。」


一同

「ハハッハハハハハ!」


莉奈りな

【まだまだ、みんな元気ね。】







莉奈りな

【住宅地が途切れると、

今度は畑の中の一本道。

地平線が見えるかのような、広く視界が開けた空間。

なんだか、地球が丸いのが見えるかのよう。

青空には雲一つない。

濃い緑の葉っぱの作物は、何だろう?】


萌音もね

「にんじん畑だ。」


かすみ

「春ニンジンの葉っぱは、おひたしにするとおいしいのよ。」


莉奈りな

かすみちゃんは、

おばあちゃんに教えてもらったのかな。】


孝太郎こうたろう

「すごくにがくて、ゴミゴミした食感でさあ、、、。」

「僕、苦手。」


かすみ

「それがおいしいんじゃない。大人の味よ。」


孝太郎こうたろう

「大人じゃなくて、いいよ。」







莉奈りな

【にんじん畑を過ぎると、いよいよ大河を渡る。

自転車で県境を渡るんだ。】

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