第じゅう話 怖いよ
【川沿いのサイクリングロードは、途中で途切れちゃった。
平行する国道に合流することになったけど。】
【この国道は、古い旧道。
新しく出来たバイパスは、自動車専用道で、
自転車は旧道を行くしかない。】
(不安定な自転車の走行音)カチャ、ガチャ、カ、カ、シャカ、シャァーー
(大型トラックが追い越していく走行音)ブゥゥゥゥゥゥブオーーーー
【旧道だからか、舗装は荒れていて、
特に自転車が走る左端はガッタガタ。
歩道も部分的にしか無い。
車道も狭くて、その割に交通量も多く、
時折、大型トラックやダンプカーが、
スレスレを追い越していって、、、】
(大型トラックのクラクション)ブァブァーーー
「こ、怖い。」
【先頭を除いた、二番手以降の走行ペースは落ちて、
車列は縦方向に大きく伸びた。
最後尾から二番目を走るあたしからは、先頭が見えなくなった。
あたしの直前を走る萌音もねちゃんは、ついに立ち止まっちゃった。
路肩の、ほんの小さな、猫の額とは言わないけれど、
狭いが、多少は安全と思われる場所で、停車。
あたしと最後尾の
「こぇーーーな。
【
むしろ、楽しそう。
「あたし、
【番号聞いておいてよかった。】
(電話の呼び出し音)プルルルル、プルルルル
(電話の相手の声)ゴニョゴニョ
「、、、、わかった。じゃ、待っててね。」
(通話を切る音)ピッ
「すぐ先のところで、休憩しながら待っている、って。」
「止まったついでに水分補給もして、落ち着いたら来て、って。」
【ふたりにそう伝えたが、
【3人で少し進むと、確かに、すぐに追いついた。
やはり、微妙な広さの路肩で、小休止に合流。】
「もう、
「こんな危なっかしい道、走らせないで、って。」
【
「ゴメンね。ちょっと下調べが甘かった。
川沿いの道は走りやすい、のがセオリーなんだけど。」
【
「AIも言ってたよ。
左側を川に沿って走るルートは、左側に脇道が無くて、
飛び出てくる車や歩行者の心配しなくてもいいから、
走りやすいルートだって。」
【
なるほど。そういう考え方もあるのね。】
「でも、この道はひどいよ。それ以前の問題。」
【今回のルート選びをしてくれた
「その通り。ゴメンね。ちゃんと画像で確認すべきだった。
今は、ゴーグルビューがあるんだから。」
【そう言われると、それ以上、
でもね。】
「でもね、怖かったんだから。
せめて、さっきは迎えに来てほしかった。」
【ちょっとわがままかな。】
「ゴメンね。
この道、中途半端にセンターラインにポールがあって、
反対車線に渡りづらいし、
かといって、戻るのに逆走はできないし。」
【ちょっと言い過ぎかな、しまった。】
「逆走って、右側通行になるんだけど、
きっと
「万一の時、速度差が増幅されるから。」
「、、、増幅?それ意味わからない。」
「、、、車が時速40キロで走っているとするよ。」
「うん。」
「そこへ反対方向から、つまり逆走した自転車が、
時速20キロで走って来たとするよ。」
「うん。」
「接触したらどうなると思う?」
「う、ん?」
「相対速度は、40たす20で、
時速60キロで壁にぶつかったのと同じことになるんだよ。
大怪我では済まないかもしれないよ。」
「、、、。」
「これが、お互いに左側通行を守っていれば、
万一接触しても、相対速度は、40ひく20で、
時速20キロの衝撃でしかなくなるんだ。」
「そうなんだ。」
「実は、俺の経験ある話で、
速度差もそうだけど、進行方向が同じだから、
接触してもそのまま加速するような衝撃を受けただけで、
転倒することもなく、怪我もなく、
事なきで済んだことがあるよ。」
一同
「へーーーぇ。」
【いつの間にか、みんなが聞き入っていた。】
「逆走、って、ほんと怖いんだよ。」
「さあ、この道も少し先で市街地に入って、
裏道も見つけたから、もう少しだけガマンで行こう。」
「ちゃんと画像で確認したからね。」
【
「もう一度、水分補給をして、再出発するよ。」
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