第に話 前日の打ち合わせ

莉奈りな

【お昼過ぎて公園に着いたら、もうみんな揃ってるね。】


かすみ

莉奈りなぁ!遅いよぉ!」


莉奈りな

「ゴメン、お待たせ。」

【でも、時間通りだよ、かすみちゃん。】


かすみ

「みんな、またAIばかりなんだもん。」


莉奈りな

【スマホでサイクリングの心構えを調べていたのね。

ひとりだけ持っていないかすみちゃんは、

肩身が狭かったね。】


かすみ

「ねぇ、初心者には平均時速15キロがいいんだって。どう思う?」


莉奈りな

かすみちゃん、雷人らいとくんのスマホ覗いてる。】

「えーーーっと、全然想像できない。」


雷人らいと

「ほら、そこの道路標識見て。40、って書いてあるよ。

、、、、そう言うことだよ。」


莉奈りな

【れれ?どういうこと?】


かすみ

「アホか!意味ないわ!」


莉奈りな

かすみちゃん、ナイス!】


雷人らいと

「だって、車が40キロだから、自転車でも15キロ楽勝じゃね!

頑張ったら20キロぐらいいけるんじゃね!」


武佐士むさし

「平均速度20キロって、結構キツイよ。

今回の目的地まで、距離は大体片道40キロ弱。

親父は2時間かからないらしいが、

子供なら4時間ぐらいみておけ、って言っていたぞ。」


莉奈りな

【そう言えば、武佐士むさしくんのお父さんの趣味は、

ロードバイクだったよな。確か。】


雷人らいと

「それって、距離が40キロで4時間だから、、、

時速10キロじゃん。」


かすみ

「すごーい。計算合ってるぅ。」


莉奈りな

かすみちゃんのツッこみぃ。】


雷人らいと

「当たり前だろ。俺は天才だから。」


かすみ

「算数だけね。」


莉奈りな

【またまたツッこんだ。】


雷人らいと

「うっさいわ!」

「だけど10キロって、おじさん、俺らを舐めてるんじゃないの!?」


武佐士むさし

「俺、ロードバイク借りて、頑張っても時速30キロだった。

それも、せいぜい5分しかたない。

長距離を完走するには、時速15キロって、妥当だと思う。

休憩時間も入れたら、4時間かかるのも、その通りだと思う。」


莉奈りな

【論理的だ。武佐士むさしって、やっぱり頭いいな。】


かすみ

「じゃあ、朝8時出発で、ちょうどお昼時に、目的地ね。」


莉奈りな

かすみちゃんも。】


武佐士むさし

「それだと、お昼休み終えて、

午後1時に出発すると、帰宅予定は夕方5時。

日没は6時くらいだから、明るいうちに帰れるね。」

「でも、念のため、

ちゃんとライトがくかどうかは、確認しておこう。」


莉奈りな

武佐士むさしくん、自転車愛だね。】

【みんな一斉に自分の自転車の点検始めたよ。】


莉奈りな

【私のはママチャリ。

暗くなると自動で点灯するヤツだから、明るい時はかない。

点検のよね。】


武佐士むさし

「ちょっと貸して。」


莉奈りな

武佐士むさしくん、私の自転車、どうするの?

ハンドルを持ち上げて、タイヤを浮かせて、どうするの?

タイヤをこじって、回してる、どうするの?

どうするの?】


莉奈りな

「あっ、いた!」

【明るい昼間なのにどうして点くの?】


武佐士むさし

「よし、問題なし。」


莉奈りな

「すごい!いたよ。どうして?」


武佐士むさし

「ライトの下側に明るさを感知するセンサーの窓があるんだよ。

そこを手で覆って暗くしたから、夜になったと勘違いするんだ。」


莉奈りな

「すごい!AIをだましたのね。」


武佐士むさし

「これ、AIなんて大袈裟な装置じゃないよ。」


莉奈りな

「そうなのぉ。」

【そうか、武佐士むさしは、やっぱりできるヤツだな。】






雷人らいと

「あれ、おかしいな、かないよ。」


莉奈りな

【慌ててるね、雷人らいとくん。】


武佐士むさし

「インジケーターすらかないね。」


(スイッチの操作音)パチン、パチン


かすみ

雷人らいとくんのライトは『正しいらいと』じゃないね。」


莉奈りな

【ライトは正しいのライトね。かすみちゃん、上手い。】


武佐士むさし

かすみに座布団イチ枚!」


莉奈りな

武佐士むさしくんもあの番組、知ってるんだ。】


武佐士むさし

雷人らいと、これきっと充電切れだよ。後でしとけよ。」


莉奈りな

【そっか。雷人らいとくんのクロスバイクは、

ハンドルの上にあと付けの充電式ライトだ。】


雷人らいと

「うん、帰ったらやっとく。」

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