どこでも眠るのをどうにかしてと言われても、精霊王の仕業だから私にはどうしようもない。

プロローグ

むかしむかしある、国に、お姫様が生まれました。

お祝いの席にはその国に住む十三人の魔女を招待する予定でした。

しかし、魔女に使う金のお皿が十二枚しかなかったため十二人の魔女が招かれました。

十二人の魔女は、お姫様にやさしい心や美しさ、たくさんの才能などを贈りました。

するとその時、お祝いに呼ばれなかった十三人目の魔女がやってきたのです。

十三番目の魔女は生まれたばかりのお姫様に

『十五歳の時に糸巻きの針に刺されて死ぬ』

という呪いをかけました。

他の魔女には呪いを解くことができませんでした。

しかし幸か不幸か十二番目の魔女の祝福が残っておりました。

『死ぬのではなく百年眠りにつくだけです』

十二番目の魔女はそう呪いを書き替えました。

王様は国中の糸巻き機を燃やしました。

時は流れてお姫様は十五歳になりました。

好奇心旺盛な姫は呪いの事など知らずに近づいてはいけないと言われていた塔に忍び込んでしまいます。

そこでおばあさんが見たこともないものを使っています。

気になったお姫様はおばあさんに聞くのです。

『これはなんですか？』

『これは糸巻き機と言って、糸を紡ぐものだよ。この国ではこの一台しかないのさ。やってみるかい？』

おばあさんの声にお姫様は手を出してしまいました。

針が指をさすと、お姫様は倒れてしまいます。

『ははは、いい気味だ！これで姫は死んだ！』

高笑いをしながらおばあさんに化けた魔女は消え去っていきました。

お姫様と、お姫様の国は百年の眠りにつき、国は茨に包まれてしまいました。

時が流れて百年後。

隣国の王子様が噂を聞きつけてお姫様の国に来ました。

するとあら不思議、硬く包まれた茨が王子様を迎え入れるように開いていくのです。

不思議に思いながら王子様が進んでいけば、そこには美しい姫が眠っていました。

王子様はそのお姫様に近づきそっと唇を重ねました。

すると宝石なような美しい瞳が開かれます。

目が覚めた姫と王子様は末永く幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。