第8話 影の正体の断片

再び迷宮へ。

蒼は佐伯蓮の肩を掴み、叫んだ。

「思い出すんだ! 最後に交わした言葉を!」


光が弾け、親友が微笑む。

『——ありがとう。おまえと過ごせてよかった』


蓮は嗚咽し、涙を流した。

影は悲鳴をあげて崩れ去る。


だが、その瞬間——。

——「お兄ちゃん」。

耳の奥に、確かに妹の声が残った。


蒼は唇を噛み、拳を握った。

(やっぱり……影と、妹は……)


依頼は終わった。

だが、蒼自身の物語は始まったばかりだった。



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